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Shortwave Diathermy(短波ジアテルミー療法)。

頭をすっきりさせるために、ATの話題を書きたいと思います。
勝手ながら、何かに没頭してたほうが気が晴れるので…。

さて。先学期はTherapeutic Modalityの授業を受け持っていたわけですが、
私だって物理療法全てを知っているわけではない。どちらかというと決して得意分野ではない。
不慣れなトピックは多々あり、生徒より一歩先に学びながら、必死に授業をしていたものでした。
その中でも一番あたふたしたのが、Shortwave Diathermy!
さて、次に教えるのはDiathermyだ、となったところで、
あれ、なんで私Diathermyについて何も知らないんだろ?
名前と、なんかあったまるもの、くらいしか知識が無い…と思って、
Undergrad時代のノートを引っ張り出して、読み返してみたら、なんとびっくり!
実は、私は全く習っていませんでした。えぇ、名前すらも。そりゃー、知らないわけだ…。

というわけで、冷や汗をかきながら猛勉強。
どんなに知らないトピックでも、“知った顔”で教えなきゃいけないんですもの。
それならば、必死にで学ぶ。それがセンセイの義務!
教科書や文献を読み漁り、パワーポイントをもくもく作って授業は無事に終わったのですが、
ゼロから学んだ分野だったので、なかなか面白い発見が一杯でした。他のATの方もあまり深く学ばない分野ではないかと思うので、この場を借りて少し説明できればと思います。

ちなみに、Diathermyは日本語ではジアテルミー療法と言うらしいですね。
ジアテルミーって、ドイツ語“Diathermie”から来ているのでしょうか。
英語の発音(ダイアサーミー)とはだいぶ違うので、今回調べてびっくりしました。じあてるみー!

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さて、このDiathermyですが、定義で言うと“A modality that uses high-frequency electromagnetic waves”ということになります。高周波の電磁波を用い、体の特定の部位の温度・代謝を高めるのが主な目的です。その熱は、ヒートパック等と違い身体の奥深くまで浸透することから、“Deep Heating Modality”に分類されます。皮下1-2cmでなく、中からじんわりと暖めることが可能な治療器具なのです。
Shortwave Diathermy(短波ジアテルミー療法)。_b0112009_13243777.jpg
写真(↑)はつい先日広報用に撮られたうちのATRのものですが、
中央少し左にある白い小さな冷蔵庫のようなマシーンが分かりますでしょうか?
これがうちの大学にあるDiathermyのマシーンなのです。えぇ、うち、あるんです。
アメリカの大学でもかなり珍しいと思います。拡大してみると、こんな感じ(↓)。
Shortwave Diathermy(短波ジアテルミー療法)。_b0112009_13313324.jpg

AutoThermという種類のマシーンで、ドラムとパッド、両方が使用可能です。
上部がマシーンになっていて(本体はかなり小さいです)、
下部はドラム(白)やパッド(黒)等のパーツを入れる収納になってます。
Shortwave Diathermy(短波ジアテルミー療法)。_b0112009_13424774.jpg
そもそも、Diathermyとは?
前日した通り、ものすごく高周波のAC current(交流電流)が流れ、
Electromagnetic field(電磁場)が形成されるわけですが、
その周波数の長さは11mと非常に長く、運動・感覚神経をdepolarizeしないので、
電気療法等と違い、患者さんが“感じる”ことはできません。

Diathermyには様々なサブカテゴリーがあり、
Microwave, Shortwave, Longwaveに分類することができます。
このうち、医療用としてアメリカが認めているのはShortwaveのみ。
(その他も以前は治療に使われていたこともあるようですが、
健康に害があるこという研究結果が多々出たこともあり、現在は廃止になっています)
そんなわけで、今回はShortwave Diathermy(SWD)に絞って書いていきたいと思います。

SWDのApplicationの仕方は、大きく分けて2つあります。
   ●Induction Field Generator (例:Drum or Cable)
   ●Capacitive Field Generator (例:Plates or Pads)

Shortwave Diathermy(短波ジアテルミー療法)。_b0112009_14173425.jpg
Induction Field Generator
これは、コイル状になったケーブル(↑)に電流を通し、それが生み出す電磁場を利用して、
体内に存在するイオンの振動を引き起こし、その摩擦で熱を作り出す、というもの。
アプリケーションにはDrumとCableの2種類あり、中でもDrumは非常にポピュラーです。治療したい部位にタオルを置き(これはこの部位の発汗を吸収するため。電磁場内に水分があってはいけないので)、ドラムを皮膚から1.5~2.5cm程離して固定する、というやり方です(↓写真上)。
Shortwave Diathermy(短波ジアテルミー療法)。_b0112009_14204449.jpg
一方、(↑)Cable Applicationは正直言ってちょっとOld School(時代遅れ)なやり方。
患部を直接ケーブルでぐるぐる巻きにするというもの。このとき、コイルの角度が全て等しくなければいけない、全てのコイルが等間隔で無ければならない、など、決まり事が多く、なかなか100%正しくapplyすることが難しい、という致命的な欠陥があります。これを失敗すると熱にムラが出来、患者さんに火傷を負わせてしまう可能性も…。
そういった理由から、今ではほとんど使う人はいません。

しかし!古いと馬鹿にしてはいけませぬ。
実はこの理論を使った、最新のポータブルDiathermyというのがプロスポーツを中心に徐々に人気を集めており、そのうち新しいトレンドになるかも!?と私は密かに睨んでいます。
それが、ReGearという会社の作ったReBound
Shortwave Diathermy(短波ジアテルミー療法)。_b0112009_14554896.jpg

このユニットそのもの(↑)の値段は$3,300程、スリーブはそれぞれ$120程。
このスリーブの中に既にケーブルがコイル状にぐるぐる巻かれたものが内蔵されており、
マシーンをonにするだけでDiathermyが手軽に使える、という利点があります。
同じ時間使うなら、熱の伝導性を考えれば、
ポータブルHeat Packなんかよりよっぽど意味があるのでは?と個人的には思います。
一度じっくり遊んで 使ってみたくて、うちの大学でも研究目的とか上手くかこつけて、
購入できないか目論んでるんですけどねぇ…。

さて、Capacitive Field Generatorの話もしたいのですが、
今日は長くなってしまったのでここまで。明日続きをupします。

  by supersy | 2011-03-15 23:59 | Athletic Training

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