勝った!…というのも変だけど。

私、自分の仕事、大好きですよ。大好きなんですけど。

この仕事をやっていて、本当にいやだなぁと思うこともいくつかあります。
例えば、練習予定がぎりぎりで変更になって、自分にだけ連絡がこないというやつ。
早朝に職場に登場したけど練習は無しになってました、みたいなこととか。
“あ、ごめん、Syに言うの忘れてた!もしかしてもう来ちゃってる?”というコーチとの電話を、
いやー、他の仕事を片付けられるんで丁度良いですよ、と笑いながら切って、
朝早くAT roomにひとりぽつーんといると、なんとも虚しい気持ちになりますね。
(これって多分AT界の“あるある”、と言っていいくらい、すんごく良くある話)
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もうひとつは、今までに3回くらいあったんですけども。
流れで言うとですね、

1) 選手が怪我を抱えてやってくる。私が選手の怪我を診断する。
2) チームドクターに診せるほどのものでもない(=手術を要さない)ので、治療とリハビリに精を出す。
3) とは言ってもそんなにすぐに治るもんばかりではありません。
   overuse系の怪我はカラダの使い方、筋肉の力の入れ方から教えなおすケースが多いので、
   練習量も細かく調節しつつ、カラダの理想的バランスを作り上げることに時間を費やす。
  “上手く治ってないのでは”と心配に思うコーチのリクエストにより、“一応”医者に診せることに。
5) 医者が一大事だと大騒ぎ。手術決定、みたいなコメントをされて選手もコーチもパニック。
6) MRI撮る。結局ちっともオオゴトでないことが判明。
   私の最初の診断が正しく、結局“今までの治療・リハビリを続けてください”と言われる。

…これね、時間とお金をかけて最初の場所に戻ってくるだけなんですって!!!!
○○をrule outするためにとりあえずMRI撮りましょう、とかいう感じならともかく、
うわぁ大変だ、今すぐに手術です!まずMRIを撮りましょう!という手術ありきな言い方をするから、
“そんなに深刻!?あんたの言ってたことと違うじゃないの”みたいなコーチからの目線が痛いですし、
何よりそんなことを言われた選手の落ち込みぷりったら。
私は本心では“ええ!そうかなぁ…違うと思うけど”とかなりの確信を持って思っていたとしても、
医者がそう言っている以上“大丈夫、きっとひどいもんではないよ!”と無責任な励ましもできないし、
“まぁ、結果も出てないのに心配してもしょうがない、とりあえず待とう!”と言うしか…。
そんでそのあと結局“あ、違った。今までどおりの治療続けてください”と訂正されても。
ほんとにもう、拍子抜けというか。この騒動は一体全体なんだったのですか、という呆れしか。。。
なんかすごくエネルギーを吸い取られたような気分になります。
選手やコーチの不安を悪戯に煽っておいて、あ、違った、はないでしょう。
仮にも医者でしょう!私より能力・知識があって然るべきなのでは!?

別に全てのお医者さんを無能だと言ってるわけじゃなくて…。
本当にとんでもなく素晴らしいスキルとコミュニケーション能力を持ったドクターには
何人も出会ってきたし、職業として体力的精神的に非常に大変なものだというのも分かります。
勉強だって私たちの何倍も時間をかけて、私たちが習わない内容までやってきているのです。
尊敬はしてます。でもこういうがっかりドクターに会ったのも1回や2回ではありません。
適当に診断を告げないで、ちゃんと患者さんのhistoryからしっかり取ってください!
アメリカのお医者さんは日本のそれに比べてかなりspecial testに長けていると思うけれど、
(日本の医者ってろくに触りもしないでレントゲンやらMRIにとりあえず送りますよね)
それでも皆がみんな、秀でているわけではないんだな。当たり前だけど。
そして、お医者さんも医者という立場である以上、自分の言葉の重さを知ってください。
私は自分自身の言葉に責任を持つよう、日々自分に言い聞かせ、心掛けています。
お医者さんならそれは尚更。患者さんにモノを言うとき、それが彼らの人生に、心に、
多大な影響を与えかねないんだということを考えてください。
一日に30人くらいの患者さんを診ているのかもしれない、
でも、1/30とは扱わないでください。ひとりひとり、抱えているものがあるんです!


でも反面、こういうことがある度にすごく自信にもなります。
よし、自分の診断は間違ってなかった!と。
妙な言い方ですが、私よりも年上で経験も知識もあるべき医者に、勝ったぞ!と。
こっそり自分でスコアをつけています(笑)。こうやって強かに楽しむしかないのだ!こういう経験は。

それでもやっぱり、医者と一緒にがっつりタッグを組んでやっていければベストなんですけどね。
同じものを見ていられたらいいのにな、いっつも。こういう無駄は、やっぱり省いていきたいな。
ひとりひとりの患者とじっくり向き合うこと。これは、ATのほうがはるかにAdvantageがあります。
これからもこのスタンスは崩さずに行こう。自分の知識と経験と、持てるもの全てつぎ込んだら、
あとはもう、自分が正しいと思うその直感を信じて。
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  by supersy | 2010-11-03 21:30 | Athletic Training | Comments(3)

Commented by hidani ai at 2010-11-04 12:53 x
興味深く拝見させていただきました!
わたしは今AT専攻で留学中です、とゆってもまだfreshmanなんですけど。。
なにもしらずきたわたしにとって
すごくためになるブログなので
これからもちょくちょくみようとおもいます!
無理せず更新してくださいね^^
Commented by かや at 2010-11-07 18:59 x
本当にご苦労様でした。

MDのコメントって本当に患者の気持ち等を強く左右するので,その辺を考えてコメントしてほしいですよね。よくわからない分野だってあるだろうけどそんな時はそれまで診てきてたトレーナーさん達から情報をえるなど・・・
患者(選手)をどの医者に送るか・・・ってのは日米問わず悩ましいところですね。
Commented by さゆり at 2010-11-08 11:50 x
>hidani aiさん
コメントありがとうございます。freshmanということは毎日が新しい情報で満ち溢れていて楽しい時期ですよね、学生の特権を生かして毎日思いっきり学んでください!日々の蓄積は最後に自分の大きな武器になりますよ。

>賀屋先生
そうなんですよねぇ、今回のパンクの件でもしみじみ考えましたが、プロの考える"常識"は素人には無い"専門知識"で、だからこそプロの希少価値というか存在意義があるわけなんですが、その分、プロが自分の持っている言葉の力というものを理解していないと、こんな風になっちゃったりするわけです。ドクターたちの性質、徐々にですが学んでいます。誰をどの医者に送るか、ほんとにcrucialですね。こういうのって、大っぴらにヒトには言えない"裏知識"ですが、欠かせない情報です。

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