NATA Convention in Philadelphia おまけ。

さて、一応コンベンションで何をしたか云々のBlogは更新し終えましたが、
講義にこそ出られなかったものの、面白いと思う最新テクノロジーにも出会うことが出来たので、
私の興味を惹いたものをちょっとここで紹介させていただければと思います。
はい、久々にマニアックなやつです。ふふ、こういうのはやっぱ面白い。
テーマは、“これからもっともっと注目される!?Sports Medicine界のNew Wave達”。

●X1 Helmet
Football界で働かれている方には今更、という感じかも知れませんが、
今回初めてX1 Helmetというものを目にしました。
Xenithという会社の製品で、最新フットボール用ヘルメットです。
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ここ数年、特にNFLの世界を中心にConcussion(脳震盪)の深刻性が非常に注目を集めており、今まででは“ちょっと頭打った位でフットボール選手がぴーぴー言うな”みたいな雰囲気があったのですが、いやいや、実は脳にPermanent damageを残すし、命や後の人生に関わる大変なことになる、ということにようやく国民が気づき始め、どう的確に診断・治療・リハビリすべきなのか、そして第一に、どうしたら予防できるのか、ということを、医者・理学療法士・アスレティックトレーナーが、それからスポーツ用品メーカーたちも、一緒になって試行錯誤しているという流れの真っ只中にあります。NFL選手の中では何度も脳震盪しすぎて、記憶を司る脳の一部にまで影響が及び、奥さんの名前も思い出せない人もいるとか、そんなのも一時期話題になりましたよね。
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さて、それでXenith社が開発したのがこのX1 Helmet(↑)。

このヘルメットが優れている点は、大きく二つあります。
<Shock Bonnet Technology>
写真で見ると分かるように、このヘルメット内部には、Aware-Flow Shock Absorbersという
ラバーでできたクッション(丸い黒いやつらです)がヘルメットの至る所に配置されています。
物がぶつかるなどしてヘルメットに衝撃が加わると、そのimpactはこれらのクッションに伝わり、圧迫された結果、クッション中央部に空いた小さな穴から空気が抜け、その衝撃の大きさ・方向にadjustした上で吸収することができます。その為、ほとんどの衝撃はこのlayerで吸収され頭にかかる力が結果少なくなる、と。
Traditional padding materialはどちらかというと硬い素材のものを分厚い層にして詰めていた感じですが、敢えて“空気が入った、しかも穴が開いていて伸縮性の高い素材”を入れることで、硬いものに硬いもので対抗して頭を守ろうとするのではなく、豪には柔を、柔らかく受け流そうではないか、という発想の転換を実現したヘルメットです。

<Fit Seeker Technology>
もうひとつは、フィット感、装着性の良さ。
Chin strapがこのShock Bonnetに、Fit Seeker Cableをいうものを介して繋がっており、
Chin strapを引っ張って顎にフィットするようtightenすると、上部のShock Bonnetも同時に
上から頭を包み込み圧迫するように適度にフィットする、 というシステムになっています。
従来のヘルメットでこの“適度なフィット”を実現させるためには、第三者の助けを借りて、
b0112009_01644.jpgヘルメット内に幾つか在るエアバルブにair pumpを差し込んで、手動でしゅこしゅこ空気を入れてエアポケットを膨らませ、調節しなければなりませんでした。その為、Athletic TrainerやEquipment Managerは試合前や試合の最中も常にこういったAir Pumpを持ち歩いていなければならず、忙しいときに“ちょっと空気入れて”と言われて、もぉぉ!何でもっと早くやっとかなかったの!と、なることも多々ありました。なので、選手一人で、瞬時にキュって合わせられるのは、聞こえ以上にすごく便利です。

ちなみにこれらの仕組みを動画で見たい方はこちらから。

思いつくダウンサイドは、フットボール選手、特に高校くらいだと皆自意識過剰なもんで、
Chin strapをちょっと緩めるくらいが格好良いと思っている子も多いんですよねぇ。
そうすると、この後者のFit Seeker機能は意味を無くしてしまいます。
Athletic Trainerのみでなく、コーチのほうからも、徹底した脳震盪予防の教育をしておくことが、
まぁこのヘルメットに限らずですが、重要になってきそうです。

●Flexcushion
Exhibitをふらふらしていたら、日本人らしき方がやっているブースを発見。
見れば、その人が宣伝しているのはストレッチをするときに使うマットのようなもので、これがあると
ストレッチが非常に効果的にできるんだとか。軽い気持ちでブースの方の話を聞き始めると、
意外や意外、この方のお話がとっても面白くて、すっかり話し込んでしまいました。

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で、この商品、Flexcushion(写真右)なのですが、ストレッチ時にこれの上に座ったり、膝の下に置いたり…ちょっと体に角度をつけてやることによって、よりストレッチが簡単に、しかも効果的になる、というものなんです。この角度も試行錯誤の上に辿りついたのだとか。ストレッチだけでなく、これを使いながらのCore Training等の運動も出来、日本、アメリカの数々のプロチーム、ナショナルチーム、そしてオリンピックアスリートが使っているそうです。理屈は非常に適っていると思いますし、こういうちょっとの工夫で、余計な部位にかかる負担を減らし、ターゲットとする部位をよりisolateすることは可能ですから、実際飛躍的にストレッチ/エクササイズ効果は上がるだろうなぁと私も思います。想像力ひとつでかなり色々なことに使えそう。ちょっと試させてもらいましたが、やってみた感触もかなり良い。…スーツだったので、あんまり思いっきりは試せませんでしたけど。チーム単位で、選手全員がひとりひとつ持つ…というのは大学レベルでは予算上難しそうだけれど、個人的にひとつ欲しいなぁと思う商品でした(笑)。
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Blogで紹介させてもらっても良いですか?と尋ねると快くokして下さり、一緒に写真を撮らせていただきました。この方、坂田さんと仰るんですが、何が一番面白かったかって、その坂田さんが言った一言。“この商品は、相撲の股割りをヒントに作られたんです。”え、相撲?どういうことでしょう??

“僕、これ実は本当はこれじゃなくて、アメリカでシコを広めたかったんです。
シコってものすごい究極の動きなんです。柔軟性がなくちゃできないし、バランスも、コアもなくちゃいけないし…。どのスポーツにも通じる、基礎ともいえるものが全て詰まっているんですよ。海外でシコのレッスンをしているときに、ストレッチにとこれを使っていたらそっちの評判がすこぶる良くて商品化することになったんですけど…。実は金曜日にはシコの指導でコネチカットのほうに行くことになっているんです、本当にやりたいのはそっちなんです。”

坂田さんは大学時代に相撲をやられており(このページの写真は実は坂田さんご自身)、
この商品の根底にあるものもその相撲でした。
シコという動きを深く考えたことが、この時坂田さんが指摘なさるまで一度もなかったですけれど、
言われてみれば、確かに!足をあれだけ高く振り上げ、下ろす、そして腰を下げる…単純そうな動きですけれど、あれを正しく美しくするには、相当の筋力とコア、ROM、バランスに乱れない精神力…全て必要不可欠ですよね!私が真似しようとしても軸足となるほうの足が、co-contractionでがちがちになっちゃうだろうし、何よりふらふらヨタヨタしちゃってシコにならないだろうなぁ。とてもゆっくり、スムーズにはできない。見てください、このプロのシコ(↓)の美しさ!
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帰ってきてから相方に、シコってすごいんじゃないかと気がついたよ!と報告すると、
“俺も高校時代、ラグビー部の練習で、皆で円陣作らされて延々シコ踏まされた。すっごくキツくて、30回くらいやると汗だくでさ。コーチが足腰に良いんだって、これやると簡単にふっとばされなくなるっていうんで、ずっとやってた。良いトレーニングだったと思うよ。…恥ずかしかったけど。”
へぇぇ、なるほどぉぉぉ。
シコにはアスリートの美学が詰まってる。この着目点は、私の中で新しくてちょっと改革的!

●ZAMST
同じくExhibitをふらふら歩いていると、見慣れた懐かしい文字が目に飛び込んできました。
それは、ZAMST(ザムスト)!以前にもちょっとだけ触れたことがあるように、私は高校時代、バスケをしていたときにZAMSTの足首サポーター愛用者だったので、こんなところで再会できてびっくり!だってこの会社、日本のサポーターメーカーで、日本でこそ有名なものの、アメリカには進出してなかったはずだけど?ぬぬぬ?

吸い寄せられるようにブースに歩いていき、
カタログを手にとって眺めていると、日本人の広報の方がすすすと寄ってきたので、
“あの、ZAMSTですよね?昔、使ってました!”とこちらから声をかけてみました。
“そうなんですか!”と非常に喜んでくださって、他の日本人の方まで、“おぉい、○○さーん、ちょっと来て、この方、うちの商品使ってくれてたんだってー!”と大声で呼ばれちゃいました。
え、えへ、恥ずかしい。お、お世話になってました。
聞くところによると、つい2-3ヶ月前にアメリカ進出を決めたばかりなのだそう。
“うちのヘッドに薦めておきます!”と熱く約束を交わしてきました。密かに応援しています!

そんなわけで、コンベンション行ってお酒ばっかり飲んでたわけじゃありません。
Exhibitを回るだけでも、とっても良い勉強になりました。
面白い場所ですね、あそこは。最新のトレンドと、想像力が詰まっている空間です。
自身の技術や知識を磨くのもAthletic Trainerにとって重要なことだけれど、
どういう製品が世の中に出回っているか、各社がどういうコンセプトを持って商品開発をしているのか、私、こういうことを知るのも大事だと思うんです。商品に囲まれて仕事している以上、ね。
買うほうの立場に立ったときには最善の選択をしたいじゃないですか。
今回はまさにそれを自分の目と肌で体験できて面白かったです!ありがとうございました。
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  by supersy | 2010-06-30 13:32 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by かや at 2010-07-02 20:07 x
四股は僕も好きですね。昔,部活でもよくやらされてたし,人をおんぶしての四股までも・・・。
トレーニングなんかでもチョコチョコとやらせたりしてます。こども達に。
ストレッチで,お尻の下に何か入れて高くするってのも,雑誌とか古新聞のたばとかでやったし,指導したこともあるけど
それらを商品化したりして普及させるという行動力には頭が下がります。
Commented by さゆり at 2010-07-03 10:51 x
おんぶしてまで!それは私ならひっくり返ってしまうと思います。すごいなぁ、柔道ですよね?
商品化に関しては、どこに着目するかですよね。世の中には、別に商品にして売らなくても、工夫次第でお金をかけないでできるじゃない?ってモノも多いとは思うので、選ぶ側の消費者も賢くならないといけないですけど。でも私みたいな立膝できない人間は、このクッションは便利です。重宝しそう。

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