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はつたいけーん。

Common Compensatory Pattern(CCP)のおまけのおまけです。

調べていると出てくるのですが、結構CCPって芸術史を通しても観察できるもんなんですね。
下は19世紀フランス絵画の巨匠、ドミニク・アングルの作品「ヴィーナスの誕生」。
そして、言うまでも無く有名なボッティチェリの、これまた「ヴィーナスの誕生」。
両作品、比べてみても見事にL/R/L/Rに当てはまるCommon Compensatory Patternです。
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ビーナスさんたちもくねくね姿勢が悪かったんですねぇ。
…じゃなくて、まぁこういうのも曲線美ですから、誇張されている可能性もありますけれど、
古い時代からこういう感覚があったことが興味深いですね。
今日読んでいた文献にも、“人体が完璧に左右対称なわけがない”という一文がありました。
“そもそも内臓の並びが左右非対称なのだし”
“脳の機能ですらも左右違うのだから、それによって支配される動きも左右非対称になり、
動きによって形成される構造も非対称になるというのは実に自然なことではないか”と。
なるほど!!その説明の仕方は実にシンプルだ!

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●中殿筋と小殿筋 —意外なる頑張り屋さんたち—。

前々回挙げた文献のうちのひとつ、
“Short Right Leg Syndrome”のほうにも面白い記述がありました。
著者曰く“私の考えでは、骨盤周りの筋肉で最もdysfunctionの要因となり易い筋肉は中臀筋及び
小臀筋である。”という文章があります。ふむふむ、とそれらの機能について読んでみると…
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はつたいけーん。_b0112009_8471037.jpg 1. Hip Abduction(股関節外転)において、これら2つはprimary mover
  であり、真っ先にfireされなければならない。追って、TFL、
  piriformis、QL、lumbar erectors等のsynergistic muscles(↑)。
 2. 歩行時、stance phaseの最中にこれら2つがfireする(←)ことにより、
  pelvisをsidebendさせ、逆側の骨盤を上げるという重要な機能もある。
  このcockingにより骨盤を引き上げ逆足をswingする事が可能になる。

2の機能は今まで聞いたことがなくて、中・小殿筋の機能と言えばHip abductionと、in/external rotationを通じてhipをstabilizeする、とばかり思っていて、まさかweight-bearing時にhip hikeと言う、また別のdynamicな機能があるなんて初めて聞いた、面白い…!!!
とそれはそれは感動して、相方に意気揚々と報告したら、
“うん…習ったこと無かったの?”と言われてちょっとショックです。
これって常識?今まで誰も教えてくれなかったんですが…。

Hip hikingはGlut medとはcontralateralのQLがcontractして起こるものかと思ってた。
あ、でも良く考えたらTrendelenburg's signってこういうことか…。ぬぁー。
未だにCKCとOKCで機能ががらっと切り替わる、ということを忘れてしまう瞬間があります。
だめだなぁ、ちゃんと広い見方ができないと。

ともあれ、著者はGluteus mediusとminimusがstretchedされunderactivatedになってしまうことで、
TFLやQL、back erectorsがメインのhip abductorとなり、結果、腰の痛みやITB Friction Syndromeを引き起こす、なんてことを書いています。ここらへんは、理解しやすいですよね。

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はつたいけーん。_b0112009_9503369.jpg●Coreに内臓も入れるべき?

私が最近読み進めている、“The Endless Web —Fascial Anatomy and
Physiocal Reality”(↑)という本の中に、これまた面白い記述がありました。
それは、“The concept of a core includes both spine and the viscera.”
というものです。内臓も?と最初ちょっとびっくりしたのですが、
つまりこういうことみたいです。

1. 人体が動きを起こせば、spineがそうであるように、
 内臓たちもconnective tissueを介してspring actionを起こし、
 その動きを助ける役割を果たす。
2.人体のCentral axisを引いたときに、その線はspineではなくvisceraを通る(→)。
 このことからも、visceraは重要なdeterminant of verticalityだと言える。

うーん、言われて見れば。そういう考え方も面白いなぁ。
だからってcore strengtheningで内臓も鍛えるのか、と言ったら
それは違うと思うんですけど、このstatementを見て、今までの自分は
ニンゲンの動きというものを考えるときに、内臓たちを余りに除外しすぎていたかな、と。Juniorの時くらいだったでしょうか、Coreについて悶々と考察していた時期にintra-abdominal pressureという存在に行き当たり、それに満足してしまい、それ以上、つまり、内臓そのものに目を向けたことがなかったんです。前回の横隔膜と肝臓の話の時も、恥ずかしながらhiroさんに指摘されるまで肝臓がfactorであるかも、という可能性すら頭に浮かびませんでした…。体幹の中で相当な容積を占めていますもの、何も影響が無いわけはないですよね。

●”専門”のボキャブラリー。
アメリカ生活ももう8年。英語で困ることはさすがに無いですし、
Athletic trainer関係の文献を読むときには、辞書を引くことももう無くなっていたのですが…。

この半年くらいの間に読んでいる文献は、ちょっと正統派Athletic Trainingから外れる、
RolfingやOsteopathy系のものたちが多いです。そういうのをよく読むようになって、
つくづく思うのが、専門が変われば使う語彙も随分違うのだなぁ、ということ。
電子辞書を久しぶりに横に置きつつ、読んでます。

例えば今日もですねぇ、“cantilevered”という単語が出てきたので調べてみたのですが、
cantilever=建築用語で、(支柱から突き出ている)片持ち梁。もしくは、航空用語で片持ち翼。
…人体の話をしていて、どうして建築や航空の話に!?!?
決して読みやすくはないですが、こういうのも面白いです。数読んでいたら慣れますかねぇ。

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ちなみに今日は、先日言っていたマッサージ師の方がUNFのAT roomに来てくださり、
AT staff陣全員がそれぞれ一時間、マッサージを受けさせてもらいました。
カイロプラクティックの先生が、“もう、クリニックに来ればマッサージしてあげるからって言ってるのに誰も来ないから、来ないなら連れてきちゃうからね!”とご好意で手配してくださったのです。
私も、何だかしてもらえるからっていそいそクリニックにお邪魔するのも気が引けていたので、
せっかく来て頂けるのだからやってもらわないとそれはそれで失礼だ!ということで、
見事先生の術中にはまり(笑)、今回初めて、プロのマッサージを受けることになりました。

で、感想ですが…。
いたーい!

Acupressure/myofascial release中心のマッサージで、
お尻や腰をやってもらったあたりまでは眠りそうになるくらい穏やかでrelaxingだったものの、
肩周り、首辺りは痛くて痛くて目がしゅぴーーーんと冴えてしまいました。
trigger pointにヒットすると、体中がぐーんと重くなるー。
いたいー。うぬー。そこもうやめてー。がー。
声には出さなかったものの、しかめっ面でマッサージを受けていました。

しかし、身体の使い方は抜群に上手い。私が6人目だから6時間ぶっ続けでやっているのに、
疲れを全く感じさせません。親指なんか全然使わず、肘や掌底、ナックルを器用に使います。
やってもらったあと、自分の感覚と合うか気になって、印象を聞いたら、
“Gluteは悪くなかったわ、腰は特に右が張ってたわね。肩はまだマッサージで緩まってきたから
よかったけど、首はもう手のつけようが無いわ”だそうです(苦笑)。
うーん、最近首がやたら痛むの、ばれてましたか。

しかし、マッサージってやられ慣れてないと、受けるだけでも疲れるもんですね!
自分の身体に異物が入ってくる感覚、やっぱり怖くて、筋肉たちが押し出そうとしちゃうので、
リラックス、リラックス、と終始自分に言い聞かせて受けなければいけませんでした。
今までのアスリートたち、よく信頼して身体預けてくれたもんだ。
ちょっと感謝の気持ちが芽生えます。
しかし、いつもやってばかりなので、やられるというのは実に良い経験になりました。
こっち側の視点からしか見えないこともあります。受ける側になってみて、今までやってきて
これは正解だったなと思ったこともあったし、また新たに試してみたいことも増えました。
7時間もマッサージ、お疲れさまです。本当にありがとうございました!

  by supersy | 2010-05-12 20:30 | Athletic Training

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