Platelet-Rich Plasma Therapy。

さて、久しぶりに真面目に専門の話でも。
最近話題のPRPってご存知でしょうか?
PRPとは、Platelet-Rich Plasmaの略です。
日本では、多血小板血漿、と呼ばれているみたいです。中国語のような漢字の羅列だ。

最近、と言ってもこのPlatelet-Rich Plasma Injectionという治療法が
Sports Medicineの世界で注目され始めたのは一年以上前に遡ります。
去年の2月、“NFL Pittsburgh Steelersの2人の選手の治療にこのPRP Injectionが用いられ、
その甲斐あってSuper Bowlチャンピオンを勝ち取ることができた”というシンデレラストーリーが
New York Times紙の一面を飾ったのがきっかけで脚光を浴びるようになりました。
実際それがどれほど貢献したのかは定かではありませんが、2人がこの治療を受けていたのは
事実で、NFLなどのトップレベルのプロ選手の間ではここ数年割と頻繁に行われる治療に
なってきており、かのタイガー・ウッズも膝に何回もInjectionを受けていたとか。
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さて、ほんじゃ、このPRPって実際何をするのでしょう?
Platelet=血小板とかPlasma=血漿とか言ってるくらいなので、
血液をどうにかしちゃうんでしょうけど、具体的にはどんなことを?
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これ、意外とシンプルなことなんです。
  1. 患者の血を注射でちょっと抜く。
  2. その血を専門の遠心分離機にかけ、約10分高速回転させる。(前=上図左、後=上図右)
  3. 血小板を高濃度で凝縮させた液体(上図右の茶色部分)を抽出。
  4. これを患者の患部に皮下注射する。
セオリーとしては、患部により多くの血小板を集めることによって、
Growth Factor(成長因子)が放出され、コラーゲンやヒアルロン酸等の産生を促進する、
みたいなことらしいんですけどね。局部的なBlood Dopingみたいな感じですかねぇ。
要は、人間のカラダに自然に存在する治癒を促進させる物質を人為的に増やして、
患部にそれを集中させることで怪我の治癒だって高まるんじゃないか、ということなんです。

個人的にはそんなに簡単にいくのかしらと思ってしまうんですが、
まぁ理屈は通ってると思いますし、実際に初期の研究でも成果はでていました。
しかし、今までのそれらの研究(例えばこちら)はデザインがちょっと甘かったんではないか、
ということで、もうちょっと練り直して研究された最新のデータが、今年1月に
The Journal of the American Medical Associationというジャーナルで発表されました。
結果、見事に失敗。プラシーボのグループと特に差が無い、という結果に。
(Abstractはこちら)

まぁ、ひとつの研究が失敗・成功したからって、その治療法を全否定・肯定していたらキリがないので、clinicianとしてはそこは自分自身で判断するしかないと思うのですが、私はまだまだ研究の余地がある面白い分野だと思っています。例えば遠心分離機にしても、理想的に血小板を集めるにはどういう設定でやるのがいいのかで色々論争がある(アメリカ製の機械を使うと血小板が壊れてしまう、なんて話が書いてある日本のサイトも見つけました)ようですし、工夫のし甲斐はいくらでもありそうです。

実際、私たちのTeam Doctorで整形外科の手術を一手に引き受けてくれているDr. Northupは、
患者は手術前に必ず採血をさせ、手術後、縫合直前にPRPを注射器に入れて、
患部にちゅちゅちゅーーーーと文字通りぶっかける、という面白いことをやっています。
血をだばだばかけるって、なかなかすごい光景です。すぷらったー。

日本では、老化皮膚の若返り治療としても実践されていたりするらしいですねぇ。
シワが消えますなんて歌っているサイトも見つけました。商売してるなぁ。

まぁ、使い方は人それぞれ、信じる信じないも、今のところは人それぞれですが、
あと数年でもっとデータも増え、確証も出てくることでしょう。
PRPの動向、面白いと思った方は、これからちょっと注目して見てみてください!

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あ、書こうと思って忘れてた、追加です!
4月になって、BOC受験の季節に入っていましたね。受験する皆様、頑張ってください!
とはいえ、この試験はあくまでEntry-levelのテスト。
If you don't know by now....今頃詰め込みをするような試験でもありません。
なので、この3年ないし2年、みっちり頑張ってきた!という自負があればきっと大丈夫。
私があげられる唯一のアドバイスは、don't overthink、ということです。

それから、UFの大学院の後輩たちも、いよいよ週明けにComp Examがあるようです。
去年は私も相当freak outしたからなぁ…。懐かしいねぇ、あも。

がんばれがんばれ。みんながんばれ。わたしもがんばる。
がんばるという言葉が好きじゃないという人もいるけど、それってちょっとひねくれてると思う。
他人の“頑張れ!”という気持ちは素直に喜んで受け止めたらいい。
応援してくれるなんて有難い。それをエネルギーとして自分のために使えばいい。
自分は頑張ってるつもりでも、自分の限界って結構“このへんのはず”と自分で
設定してしまっていることが多くて、ホントウの限界はもうちょっと上にあったりする。
それを発見するいい機会じゃない、ね。
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  by supersy | 2010-04-07 22:30 | Athletic Training | Comments(4)

Commented by Yoshi@isu at 2010-04-09 01:36 x
タイムリーにBOC明日ですdon't over thinkは教授も言ってました。とりあえず人事は尽くした気でいるので、あとは自分好みの問題が出てくれることを祈っています笑
Commented by さゆり at 2010-04-11 02:34 x
そうだねぇ、BOCに向けては苦手だったinfectionとpharmacology系を徹底的にやった思い出があります。私はfirst group to take computer exam & last group to take practical だったのでなんだか色々損をしたような気もする(笑)。
Commented by yoshi@ISU at 2010-04-27 12:25 x
mixiの方に日記も書きましたが、BOC,無事に合格しました!これで落ちていたら次いつ受けられるかわからないので(個人的事情のため)とりあえずほっとしています。。
もちろんまだまだスタートラインに立ったばかりなので、これからもっと精進します。というかむしろこの程度の知識でATCを名乗っていいのか・・という不安がなきにしもあらずですが。。
これからもさゆり先輩のブログで勉強させてもらいます!
Commented by さゆり at 2010-04-29 20:12 x
おめでとう!スタートラインとは言え、大きなステップです。この程度でATCになっていいのかな?と思っているとしたらそれは今までちゃんと勉強してきた証拠だと思いますよ。

今年は沢山受かってるみたいねぇ。今のところ、知り合いで落ちたという話を聞いてません。うちの弟も受かったし、嬉しい限りです。

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