Spring Break: Statesboro + Graston Technique。

さて。またJacksonvilleをちょっと離れています。
2泊3日の予定でGeorgiaはStatesboroに来ております。Jaxから車で2時間半くらいです。
何のために?と言いますと、Graston Technique(グラストン・テクニック)という治療テクニックの講習会が開催されるからなんです。この講習会、もう何年も行く機会を伺っていたのですが、今回はSpring Break中でしかもそう遠くない地域で開催、ということで、色々と条件が揃っていたので一大決心しました。2日がかりの講習ですが、今日は長い初日が終わりました。

まず、ちょっと手短にですが、Graston Tachniqueとは何なのかを説明したいと思います。
Grastonというのは、これを開発したDavid Graston氏の名前から来ているのですが、
彼自身は医者でもセラピストでもなく、“machinist(機械工)”兼“competitive water skier"という異色な経歴の持ち主でした。ウォータースキーで痛めてしまったという自身の膝の術後の経過が良くなかったことから、仕事場であった金属を加工して、傷口をごりごり擦ったらだいぶ症状が良くなった、というエピソードがきっかけで、このテクニックが生まれたのです。

このテクニックの大きな特徴は、
ステンレス製の、ヘラのような6種類の異なる形をした器具(↓)を用いる、という点です。
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この器具たち、Graston氏が最初に使い始めた金属から改良に改良を重ね、
今では6種類それぞれが違う目的と意味を持ち、これらさえあれば全身のどの部位にでも
応用することができる、という極致(↓)にまで辿り着いています。
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使い方はというと、Lubricant creamを部位に軽く塗り、金属でそこをごーりごりするだけ。
なんて、口で言ってしまうととっても簡単なんですが、
部位と目的に合った適切な器具・edgeを選び、どの方向にどういった力でそれらをapplyをするのかはやっぱり論理を理解し、経験を積まないと全く意味の無いものになってしまいます。

まぁそこらへんは講習に行った人が学べる特権だと思うので省きますが、
金属でカラダをごりごりしたからって、一体何がどうなってそれがbenefitになるの?
と、疑問にお思いの方も多いことでしょう。簡単にですが説明します。

Grastonが基づいている理念は、基本的にはTransverse Friction Massageのそれと同じです。
Soft Tissue、引いてはFasciaが人体に置いて重要な役割を果たしており、
それらがadhesionを起こしたりthickeningを起こしていたりすると、
dysfunctionの間接的原因になるんではないか、という考えなのです。

人間のカラダには、骨や筋肉や内臓があり、それを肌が包んでいる。b0112009_2226258.jpg
そんなイメージを持たれている方がいるかも知れません。
これ、決して間違いではありませんがそれだけでは不十分なのです。
ちょっと想像してみて下さい、あなたの目の前に小包があるとしましょう。荷物には中身があり、ダンボールがそれを包んでいます。中のものを傷つくことなく無事に届けるためには、あなたはそこに何か入れたりしませんか?そう、発泡スチロールの梱包材とか、何かクッションになるもので中身と箱の隙間を埋めて、ぶつかったり落としたりしたときの衝撃緩和材として利用したりしますよね?

これ、人体も同じことなんです。
荷物の中身が骨・筋肉・内臓、守るべき大事なものたちだと考えてください。
肌はバクテリアやウィルスの進入を防ぐ丈夫なバリアとして頑張ってくれていますが、
私たちが日々酷使しているカラダを守るという意味ではやっぱりちょっと不十分。
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そこで、Fasciaの出番です。Wikipediaによればfascia = a layer of fibrous tissue。
これ、実際に見ると白い繊維たちの集合体(↑)で、文字通り縦横無尽に走っています。
まるでクモの巣のような見た目をしており、頭のてっぺんからつま先まで、ありとあらゆる“隙間”を埋めています。日本語では“筋膜”と言われたりするみたいですが、実際は筋肉だけでなく、
内臓、血管や神経、骨など、様々なものを包んでおり、カラダの至る所で見られます。
人体解剖をしたことのある人なら、このfasciaの多さに驚かされた経験があるはずです。
どこを切ってもfascia、fascia、fascia。
何層にも重なり、巨大クモの巣のようにカラダを守ってくれているんです。

b0112009_22552323.jpgこの巨大クモの巣、動きに合わせて伸び縮みして、通常の状態であれば人間の動きを円滑に、効率良くする役割を果たしてくれているのですが、左図のように、どこかに引っかかったり、fiberが多く積み重なり厚くなってしまったりしている箇所があると、クモの巣が歪み動きを制限し、その影響は全身に広がる可能性があります。私は、人間誰しもどこかしらこういう問題を抱えているんじゃないかなって思ってるんですよね。

Soft tissueを人為的に動かし、機能を制限しているfiberを壊すことによって、より自然な人体の動きを可能にする、というのがSoft tissue mobilizationという治療テクニックで、器具を使ってそれを実践することによって、セラピストの体にかかる負担を減らし、よりmechanicalに効率よく治療ができるんではないかという可能性を探った結果がこのGraston Techniqueになっているというわけです。だいぶ端折った説明ですけれども。

一日目の今日はそれぞれの器具の違いや様々なストローク、チカラのかけ方を習い、
講義を少しやったらそのあとはとにかくひたすら部位別に実践形式で練習を積みました。
見知らぬ人と、太ももやらお尻やらをごりごりやりあうって可笑しな絵かも知れませんが、
皆セラピストとしてのbackgroundがあるので、流石に話も上手だし打ち解けるのも早いです。
Therapyだけでなく、Diagnostic toolとしても使えるというのはちょっと驚きでした。
私も自分の手のみでここまでこういった治療をやってきていたので、器具を介してどれだけ
tissue characteristicsを実際感じることがでいるんだろうというのは半信半疑でしたが、
器具を滑らせるとArea of restrictionが、セラピスト・患者の両方がありありと感じられるだけでなく、同時に目に見えて赤く浮き上がってくるというのはちょっと衝撃です。おもしろっ!

別にGrastonの宣伝をしているわけではないし、人体に対する見方、取り組み方、というのはここまでくるともう宗教みたいなもんで、何を自分が正しいとし、何を信じるか、みたいになってくるんですけれども、私の今までの経験と信念に基づき、いちAthletic Trainerとして、自分の新たな引き出しのひとつとしてこういうオプションを持っておくのは相当面白いんじゃないか、という気がしています。一日目は朝の9時から夕方5時までぶっつづけで勉強し、脳みそが最後のほうにはとろけそうになりましたが、とっても刺激的でした。明日も頑張りたいと思います!
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  by supersy | 2010-03-20 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by Katsu@Bridgewat at 2010-03-23 03:31 x
とてもタイムリーな話題!!うちの大学ではHead ATCがGraston Tachniqueを使うのですが、今日もDorsiflexionがうまく出ない選手(恐らく患側だけにあったScar tissueのため)に使っていました。個人的には以前ASTYM(http://www.astym.com/)が同じようなコンセプトだけど器具もちょっと違う物を使っていたりしたので、GrastonとASTYMの違いを質問したのですが、皆ASTYM自体を知らなかったので何か違いがあるのか気になっています。
Commented by さゆり at 2010-03-23 08:49 x
SASTMと同じで、違う派閥とかなんじゃないでしょうか。ウェブサイトを色々見てみましたがシェアしているコンセプトは同じですね。あとはphilosophical issueとかpolitics behind themが色々あるのでしょう。私のInstructorも“同じようなものは2-3種類ある。でも私は個人的に、お金を払ってくれれば器具とDVDを送るから、後は自分で好きにやってね、という彼らのやり方が好きではない”と言ってましたよ。

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