CoreにおけるCervical & Thoracic Spineの役目。

あうう…。
PESに引き続いて、現在はCSCSの資格勉強をしているんですけれども、
CSCSとはCertified Strength & Conditioning Specialistの略。
NSCA(National Strength and Conditioning Association)という組織が認定している資格であり、
まぁ、Strength & Conditioning Coach(筋トレ・コンディショニング専門コーチ)になる
アメリカではスタンダードとされている資格です。ちなみに、日本にもあります。
Strength Coachになろうとは思っていませんし、資格としてはどうしても欲しい!
というわけじゃないんですが、UndergradでもGrad schoolでもWeight Trainingの授業はこれでもかというほど履修してきており、取っていないのも不自然な資格に思えるんです。もうこの機会にやっつけてしまおう!と。もちろん他にも理由はあるんですけれども。

で、懐かしい例の教科書を引っ張り出して、
文字通りPESを取った翌日から勉強しているんですが…

この教科書、こんなにつまらなかったっけ?
ちょっと愕然。というか、PESと矛盾するコンセプトも少なくない。

この教科書を初めて読んだのは、まだFreshmanの時。
AT Programにも入っていませんでしたし、解剖学の知識も全く無い状態で、
たった一単位のWeight Trainingという授業を履修したときでした。
で、その授業のRequired Textbookがこれだったんですね。
つまり、この本、私が生まれて初めて読んだ、専門に関わる教科書、だったんです。
簡単だと言われていたクラスだったのですが、運悪く非常に厳しい先生を取ってしまい、
毎授業1チャプターを呼んで予習してこないとダメ。しかも、授業の始めに小テスト。
というのがポリシーな先生でした。
喰らいつく気持ちで必死に何時間もかけて各チャプターを読み、
自分なりにまとめ、理解して、授業に行っては小クイズを受け、たまに撃沈し、
これが一単位なんて割に合わない、と半泣きで勉強したのを覚えています。
だからというか、変な思い入れがあったのかもしれません。
何か、すごーく良いテキストだと思っていたんですよね。
あの頃は知識もなかっただけに、何が正しい情報で何が間違っている/古いとされているか、
当時は判断がつかなかったものが、今は随分見えるようになってきてしまっている
というのがあると思います。うーん、嬉しいんだか残念なんだか…。
書くチャプターをそれぞれの専門家が書く、という構成にもちょっと疑問を感じます。
最低限のことは分かってるんでしょ、という前提でそれぞれが書かれているため、
事実を並べ立てているだけで、そのlogicな説明がされておらず、話もあちこちに飛びまくり。
と、思えば同じ説明にまた何ページもかけてたりして。それについてはさっき読んだよぉ。
浅くて広い、という印象を受けます。うーーーーーむ。

そんなわけで、勉強しているのが正直つらいときがありますが、
やると決めたからには最後までやり遂げます。楽しいことばかりはやってられないさ。
でも変に時間をかけたくないから、集中して一気にやっちゃおうっと。
まだまだやりたい勉強はあるのだ。

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それにしてもPESが楽しすぎたのかもしれません。
パラパラとPESの内容を見返して改めて思います。
中でも素晴らしかったのがIntegrated Core Trainingのチャプター!
本来お金を払って勉強すべきことですので、書きすぎては良くないかなと思いますが、
ちょっとだけ皆さんとshareできたらと思います。

さて、Coreを定義しろ、と聞かれたら、
以前の私は迷わずLumbo-Pelvic-Hip Complexと言っていたと思います。
しかし、PES教材によればそれは違うんです。いや、不十分、というべきか。
“The core is defined as the lumbo-pelvic-hip complex, thoracic spine and cervical spine.”
そう、T-spineとC-spineも入るというのだから驚きです。
確かに、体の軸という意味では、頭蓋骨まで真っ直ぐに伸びた脊髄の一部ではありますけど…
それってそんなに大事なの?と、読んだ当初は疑問に思いました。
それに関してはあまり説明されぬまま、LPH Complexを中心に解説が進んでいくのですが、

まずはT-spineに関して。
T-spineがCoreに与える影響、という意味ではいくつかFactorはあるかなと思うのですが、
(例えばKyphosisやScoliosisがT-spineにあれば、T-spineで通常のmovementが起きない
→L-spineがその分compensateしなきゃいけなくなってくる、とか)
ここはalignmentという意味ではそういう異常が無いという前提で話します。
b0112009_1215968.jpg
T-spineにあるStructureで最もCoreに影響力のあるものといえば、
やっぱりThoracolumbar Fascia(TLF)かなと思います。
左図の、T-spineとL-spineからぐあーっと伸びている、
とにかくでっかくて白い物体がそうです。
蜘蛛の巣のようにわしゃわしゃと伸びた、Fiberの塊です。

でかいだけじゃありません。分厚くもあるんです。
実はこのFasciaは3層構造になっていて、anterior、middle、そしてposteriorに分類できます。Anterior Layerは最も薄く、Posterior layerが最も厚みがあります。Fascia自体はnon-contractileですが、多くの筋肉(具体的にはDeep erector spinae, multifidi, transverse abdominus, internal oblique, gluteus maximus, lattisimnus dorsi and quadratus lumborum)がこのFasciaにattachしているため、彼らが収縮することで、Thoracolumbar Fasciaにかかるtensionも変わってきます。
b0112009_12115893.jpg
上の図はThoracolumbar Fascia(青)のcross-sectionの図ですが、
それぞれの筋肉の位置とFasciaの関係がばっちり描かれた、素晴らしい絵だと思います。
さて。TLFにattachする数多くの筋肉の中でもInternal ObliqueとTransverse Abdominus
(図ではObliquus InternusとTransversus)はTLFのmiddle layerにattachしていて、
これらの筋肉がcontractすることで(頭の中で収縮させてみてください)TLF全体にtensionがかかります(ピンと張るでしょ?)。この状態ではLumbosacral junctionのtranslational/rotational stressが最小限に抑えられ、TLFが他の筋肉 + T&L-spineの動きを生み出す、安定した足場となり、理想的なsengmental stabilityを得ることが可能というわけです。
Thoracolumbar Fascia、コアを語る上では欠かすことの出来ない存在です。

そして、残るはC-spine。
ホント、C-spineなんて正直コアに何の関係があるのだろうと思っていました。
しかーし。私は間違っていました。えぇ、思いっきり間違っていましたとも。

コアエクササイズの途中に、
“はーい、ちゃんと頭はneutralにキープしてー。首曲げたり無理に伸ばしたりしなーい”
と、言ったり言われたりしたことありませんか?
私はTherapist側としてよく言ってはいたものの、何故言っていたのかと聞かれると、
姿勢が崩れているとどっかに負担がかかるし、なるべくMuscle balance/lengthが
自然なほうがチカラが一番発揮できるだろうから、と説明するに留まっていたと思います。
しかし、これにはもっと面白い理由もあったのです。
それは、Pelvo-occular Reflexと呼ばれる反射のしくみにあります。
b0112009_11335780.jpg
Sternocleidomastoid(胸鎖乳突筋筋)がhyperactiveで、
上部頚椎を伸展させ、且つ顎を前に突き出すような姿勢(↑図右)をしていると、
視線の高さをほぼ同じに保とうと、自然と骨盤がanterior tiltを起こすのだそうです。
英語で言えば、
If the sternocleidomastoid muscle is hyperactive & extends the upper cervical spine,
the pelvis will rotate anteriorly(↓図左) to realign the eyes. という解説です。
  C-spineがextendされる→eye levelが少し上がる
  反射としてanterior tiltも起こす→eye levelは少し下がる
で、結局プラスマイナスゼロにするってことなんですね。
そんなreflexがあったなんて知らなかったー!
b0112009_11264844.gif
LPH Complexには約29もの筋肉がくっついています。
Anterior pelvic tiltが起こってしまうとLPH Complexにattachするそれらの筋肉たちが
それぞれ伸ばされたり縮まったりして長さが狂い、ほぼ全ての筋肉がdegreeこそ違えど
inhibitされて、最大限の力を発揮することができなくなります。
よって、muscle imbalanceやdecreased pelvic stabilizationが起こってしまうというわけです。
文字通り、C-spineの動きがLPH complexの機能に直結してくるなんて!
目から鱗です。

b0112009_11595924.jpg
  ※これらの写真はただの拾いものです。す、すんげぇー。
これはIntegrated Core Trainingのチャプターのほんの一部ですが、
こんな感じで、今まで教わったことが無い切り口でCoreを学べたのはとても刺激的でした。
資格取得はただの分かりやすい目標であり、別に資格を取るためだけに勉強してるわけじゃないんで、やっぱりこうして、うおぉぉおおおーー!と叫んじゃうような興奮する内容に出会えるのは嬉しいです。
CSCSもこっから面白くなる…と、いいな…。
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  by supersy | 2010-01-05 10:55 | Athletic Training | Comments(5)

Commented by かや at 2010-01-06 14:29 x
PESを制覇した後ではCSCSは物足りなく感じると思うよ。

拾い物写真の右のヒトが前を向いたら背中の湾曲が変わる・・・なんてのはまさに頸部に絡んだ体幹の変化よね。
頸椎がらみの反射はいくつかあって,面倒ちゃぁ面倒よね(面白いけど)。
成人の頸部絡みの反射は,原始反射の中の頸反射が潜在的に残っているんだろうと思っているんだけど・・・・・どうかなぁ?
Commented by nori at 2010-01-09 12:18 x
お久しぶりです。
って、久しぶりすぎて覚えてないかもー?(笑)

coreにCとThが含まれるというのは、いいコンセプトですよね!
けどせっかくそこまで見るなら、僕は、ribも入れて見てみてほしいと思いますねー。
その辺りの文献は多くはないですが、ribの動きは上肢の動きの土台になっていて、肩2ndでのEx-RoのROMへ15度程度は寄与するといっている人もいます。
spineへの影響についても、いろいろ考えられますよねー。

いやぁ。ここ1年くらい自分の中で胸郭ってのがブームなんで、楽しいっす。
また飲みながらこんな話ができたら面白いのにねー。
今年もよろしくです。
Commented by さゆり at 2010-01-10 23:15 x
>賀屋先生
この反射は幼児のバビンスキーみたいに成長するにつれなくなるべきなんでしょうかね、それとも正常に機能するにはやっぱり必要なのかなぁ?人間の体ってそれにしても面白くプログラミングされてるもんです、一体誰が考えたのかと感心してしまいます。

>noriさん
お久しぶりです!もちろん覚えてますよー!
ribとはするどくて面白い見解ですね。呼吸と共にexpandするのは知ってますけど、実際のROMとしてどれくらいあるのか、というのは実は習ったことも何かで目にしてこともありません。でも、あれだけの筋肉がattachしているのだから、言われてみれば周りの関節に影響があるという可能性を今までどうして考えなかったのか…動かない足場、という印象が強すぎたのかもしれません。でも実は最近、担当の選手で"私よくribがdislocateするの"とか"ribがよくずれちゃって"なんていう子が多くてびっくりしています。正式な医師による診断なのかどうなのかすら定かではありませんが、ちょっと色々ribについて調べてみたくなります…。
Commented by かや at 2010-01-11 14:33 x
対称性も非対称性も屈曲性頸反射は原始反射で,成長とともに出なくなる・・・と教科書には書いてあるんですが,成人においても頸部の具合によって(反射と言えるかどうかは別として)四肢体幹の動きに影響は出てるので,原始反射が出なくなるのではなく随意運動に隠されて表面上は見えなくなる(影響はずっと残ってる)のかなぁと,解剖と発育発達をやるようになってから考えています。
それにしてもホント生き物ってすごいなぁ!!
Commented by さゆり at 2010-01-12 07:43 x
へぇぇ。屈曲性頸反射というんですか(驚くポイントのレベルが低くてすいません)!こないだ一生懸命googleしたんですが日本語で何と言うのかどうしても分からなくて…。やっぱり困ったときの賀屋先生!そうですね、大人になるにつれ、生活に大きな影響を及ぼさなくなる反射は徐々に抑制されていき、ほぼ見えなくなってしまうのかなという印象を受けます。恐らく他のものでoverrideすることが可能になるだけで、プログラミングそのものとしての存在は無くなりはしないんでしょうね。

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