PES取得。

友人たちが仕事納めだー、と次々と言っている中、
私はというとこれから年末年始も無くノンストップで3月まで仕事です。わーん。
でも人より早くその分休ませてもらったと思えば同じか。頑張ろうっと。

さて。27日から仕事が再開。
Swimmingの世界では、クリスマス休みに2-a-daysをする、というのが常識なようです。
FootballでいうPre-seasonのキャンプのようなものなんでしょうか、
Christmas Training、と称して午前と午後の二回、練習があります。ヘビーです。
Athletesも頑張ってるんだ、私も頑張ります!

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話は大幅に戻るのですが、この秋学期の話です。
基本的に3日くらい勉強してないとそわそわふわふわ、何もしてないような気がして、
成長してないような気がして、ひょっとして時間を無駄に過ごしてるんじゃないか!?と
不安になっちゃうという、非常に損な性格の私なのですが、
この、人生初めての“自分が授業を取っていない学期”という状態が気持ち悪くて
しょうがなかったので、学生ではないからといって勉強の手を止めてはいけない!と一念発起。
とはいえ漠然と勉強するのもなんだし、目標を設定しないとやり辛いので、
Jacksonvilleに引っ越してきてすぐ、とある資格勉強を始めていたのです。
3ヶ月と少し経った12月頭、ついに実になりました。取得したのは、PESという資格です。
PESとはPerformance Enhancement Specialistの略で、
NASM (National Academy of Sports Medicine)という組織が認定する資格です。

PESという資格を初めて耳にしたのはまだUndergradのJuniorかSeniorのときでしょうか、
この道の先輩に、“さゆりはたぶん興味持つと思うけどな”と紹介してもらって以来、
気になって仕方なかったシロモノなのです。
そんでもって勉強してみてびっくり。
おぉぉ、これ、こうじゃないかって思ってたんだよね!という、
方向と角度がピシッとくるもののオンパレードでした。勉強していて非常に楽しかったです。

自分がundergradの頃から何となく疑問に思い始めていたこと、さらにそこからの数年間で
何となく自分の中で道筋を作り始めていたセオリーが、資格として存在しているんですから
驚きです。しかも、確立されたコンセプトと科学的根拠と共に!
ここまで自分のスタンスにがっつりハマるとは思っていなかったので、
これは嬉しいサプライズでした。

具体的にどういうことかと言うと。
ものっすごくざっくり言うと、なんですけど、例えば、若い頃抱いていた、
 “ベンチプレスをもりもり頑張ったからと言って、
  スクワットが100kgできるようになったからと言って、
  それが実際のパフォーマンスにどう影響するの?”
という、Traditional Strength & Conditioning Trainingに関する疑問です。
トレーニングだけではありません。Athletic Trainingの分野でも、
 “腰が痛いといっている選手に腰のマッサージをして、それで本当に良くなるのか?”
 “肩のInstabilityがある選手にRotator CuffのエクササイズでTherabandでやらせて、
  関節の安定性、ひいてはパフォーマンス向上にそれが最良なのだろうか?”
いわゆる、これもtraditional treatment、私たちがcookbookとして何となく持ち合わせて
しまっている“アタリマエ”が疑わしく思えてならない瞬間が多くあったんです。
こういうことを突き詰めていって、上司から怒られたこともありましたけど、
プロとして、最善の選択を常に追い求めることを悪とされるのだけは容赦ならない!
と悶々と悩んだりもしましたねぇ。

PESが根本にしている理論に、
人間の動きは、どんな単純なものでも、
たったひとつの筋肉のみが使われている、たったひとつのplane(面)において、
たったひとつのaxis(軸)を中心にする運動など、現実に有り得ない
というものがあります。
逆に言うと、人間の動きというのは見た目よりも非常に複雑で、
単純に見える動きでも、複数の種類の筋肉群がタテヨコナナメあらゆる方向に、
同時に様々な収縮を起こしながら、様々なスピードで外部の環境に対応しつつ行われている、
ということです。

b0112009_10472838.jpg例えばBiceps Curl(←)という非常に単純に見えるこの運動。
ダンベルをまっすぐ上に上げるだけ。解説をするならば
Sagittal plane(矢状面)に対してElbow flexion(肘屈折)をするだけ、
使われている筋肉は上腕二頭筋

ということになりそうです。
Traditionalであればこんな解答でもマルがもらえるかも知れません。

いや、でも、待ってください、ホントですか?
少なくとも、私にはそうは見えませんでした。
b0112009_1112851.jpg
肘を屈折する、という動作には様々な筋肉が関わっています。上腕二頭筋だけじゃありません、例えば、Brachialis(左:上腕筋)やBrachioradialis(右:腕橈骨筋)もElbow Flexorの仲間で、Biceps Brachiiと同時に収縮しています。典型的Biceps Curlという運動では上図のように手首がSupinated(回外)されているため、筋繊維の向き、mechanical advantageと筋肉の緊張度から、Bicepsのチカラがフルで発揮され、主動力として使われてBrachialisとBrachioradialisがサポート役に回ります。もしこれが親指を立てたような(Anatomically natural)手首の向きであれば、Brachioradialisのチカラがより発揮され、BicepsとBrachialisがアシスト、もし、やりにくいですが、手首をfully pronated(回内)した状態でElbow Flexionを行えば、Biceps・Brachiradialis共に働きにくい角度になってしまい、Brachialisが主力になります。これらの説明なしにElbow Flexionを語るのは無謀に思えます。

それだけではありません。Elbow Extensorも同時に収縮しています。
授業で“Agonistが収縮しているときAntagonistはリラックスしている”と習うかもしれませんが、いやいや、とんでもない。彼らだって全く活動していないわけではありません。ダンベルを上げる力を減速させるために、TricepsやAnconeusがチカラを微調整しながら収縮し、スムーズな動作を可能にしています。

それだけではありません。
Biceps curlという動作を通じて、肩関節は安定されていなければいけません。
このために、Rotator cuffの4つの筋肉(Subscapularis, Supraspinatus, Infraspinatus, Teres Minor)が収縮しHumerus headをGlenoidに留めているのはもちろん、上肢の活動の土台となるScapulaも安定されていないといけないですから、Middle/lower Trap、Serratus AnteriorがScapulaを胴体に引き付け安定させ、Elbow Flexionと同時に起こるScapular Movement(Upward Rotation、Posterior Tilt、External Rotation)を作動させます。

くどいようですがそれだけではありません。
図のように立った状態でBiceps Curlを行う場合、下肢や胴体はリラックスしているのでしょうか?もちろん、違います。理想的には、Transverse AbdominisとInternal Opliqueを収縮させThoracolumbar FasciaにテンションをかけることでSacroiliac Jointを安定させ、上肢の運動をより楽にすることができますし、QuadsとHamstringは無意識にCo-contractionを起こし、全身を地面に対して安定させる役目をしていることでしょう。

随分長く説明しましたが、本当はこれでも簡略しすぎなくらいです。
もっともっと多くの筋肉が関わり、様々な角度で様々な面から、
“肘を曲げる”という本当に単純極まりない動作をアシストしているんです。
でも逆に言うと、これらがひとつでも欠けていれば、この運動は出来ないかもしれない、
もしくは出来るけれど、理想的なバイオメカニックスでは行えず、どこかに過剰なストレスがかかってしまうかもしれない、そして、それを長く続ければいずれは怪我として目に見えるものになってしまうかもしれない、という事実だってあるわけです。

つまり、何が言いたいかというと、
結局PESの大元となるコンセプトに戻るわけです。
体は全てつながっていて、全てが完璧にやるべき機能を果たして理想的動作が完成する。
何かが機能していない、という状況が生まれてしまうと、どこか一箇所に異常なストレスがかかり、結果、慢性的に起こるMicrotearが重なって、怪我となってしまう。

つまり怪我の本当の原因は、怪我の部位そのものでなく全く違う箇所にあるのかもしれません。
実際に、ピッチングモーションの時に踏み込む足の位置で、肘にかかる負担が激増することが研究でも証明されています。この場合、フォームをまったく修正せずに肘ばかり治療していても真の回復は見込めない、ということになってしまいます。
トレーニング・トリートメント・リハビリをする私たちATCやPT、CSCSたちもこのコンセプトを踏まえて実践しないといけません。最高のパフォーマンスに辿り着く、という目標がある以上、パフォーマンスの向上に直結する仕事をしていないと、何してんだってことになると思いませんか?上げてるベンチプレスが何キロだとか、とりあえずそういうことは置いておいて。
(Strength & Conditioningを否定しているわけではないのであしからず。
 全ては、知識をどうアプライするか、だと思うんです)

こういう切り口から、PerformanceをEnhance(向上)させるにはじゃあどうしたら良いのか?
これを追求しているのがPerformance Enhancement Specialistという資格です。
まぁしかしそれでも、コンセプト自体は私がundergradの頃から持っていたようなレベルのものなので、今回それをdepthにまで勉強できたのは嬉しいですが、
ここから発展させていかなければ、という気も同時にしています。
このコンセプトを踏まえつつ、実際に現場でどういうアプローチをしていくのが、
私の思う、最高のプロの仕事なのか。ってことですね。
うーむ、まだまだ道は長いです。一生勉強ですね。
でもとりあえず、Sayuri Hiraishi, MS, ATC, LAT, PESになりました!
わわわーい。
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  by supersy | 2009-12-28 21:30 | Athletic Training | Comments(4)

Commented by daichi at 2009-12-29 12:56 x
おめでとー!!!!
俺もずっとずっと気になってる資格なんだよね。
春は授業取らないし代わりにPESを攻めてみようと思う。
やる気頂きました〜☆
Commented by tnukky at 2009-12-29 14:13 x
おお、PESは言葉にするとこういうものかー!お疲れさん!
Commented by A at 2009-12-29 15:48 x
Multi-planeのFunctional Trainingに対する意識と知識が増すと、Single-planeのエクササイズを飛ばしてしまい、結果的にcompensationを招いてしまう事がありがちな気がします。
特にアスリートはcompensationのプロですから。
あなたなら全く心配なさそうですが、ちょっと気になったのでコメントしてみました。
ブログの再開を嬉しくおもいます。
Commented by さゆり at 2009-12-31 07:38 x
>daichi
お?もう授業は終わりなの?じゃあ仕事だけ?卒業いつだっけ?
PES面白いと思うよー。結構時間かけてじっくりやっちゃった。
次はいい加減CSCSをと思ってるんだけど、
これが猛烈につまらない!

>tnukkyさん
私なりに説明するとこんな感じです。
偏見が入ってるかもしれませんが…。

>Aさん
コメントありがとうございます!
大事なのは選手一人ひとりを診るチカラなのだなぁとはつくづく思います。inihbitされている/atrophyしているspecificな筋肉をターゲットにするには、マシーンでのエクササイズや、出来る限り筋肉をisolateしてfireさせることはとてもbeneficialだと思うんですよね。本当に、結局はどう応用していくかです。もっと引き出しの多いプロになりたいです!

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