CAATEのスタンダード改訂に伴うカリキュラム必修項目変更について。

毎年恒例のフロリダはタンパでのCAATE Conferenceに参加してきました。充実していた!の一言です。

このカンファレンスで私が一番聞くのを楽しみにしていたのは、最新版CAATE Professional & Curricular Content Standardsの開示でした。CAATE認定を受けているATプログラムでは、どういった構造で、どういった教育内容を提供しなければいけないという細かな決まりがあるのですが、それが定期的にアップデートされるんですよね。この最新版はもう2年程活発に議論が重ねられており、Public Commentも2回openになっていたのですが、「そろそろ最終決定される」という噂がまことしやかに囁かれていたわけですよ。いったいどんな風に着地するのだろうとわくわく待っておったわけです。

個人的に、驚くことが幾つかありました。感覚が新鮮なうちに感想をまとめておきたいと思います。

*念のため、ですが、これらのスタンダードは草案段階であり、まだ最終決定一歩手前で、変更される可能性は(小さいですが)ゼロではありません。2020年7月1日から施行開始に向けて、あと半年以内に正式発表になるものと思われます。

[新たに改訂版必修項目に含まれる可能性が濃厚なものたち]
・脱臼修復
・止血剤・止血帯(tourniquet)使用
・OD患者に対する救急剤の投与(ナロキソンの静脈注射)
・足底板やキャスティング等の選択又は作成
・関節マニピュレーション
個人的に、最初は「tourniquetの使用はスポーツの現場ではほとんど必要ない。軍隊などの限られたsettingでしっかり教えられればいいのでは?」と思ったのですが、いやいやしかし、ボストン・マラソン爆破事件や最近のラスベガスでの無差別銃撃事件を見ていると、確かに今のアメリカには必要なものなのかもしれない、と思い直しました。Mass casualtyに備えての訓練と捉えればいいのかな、生命にかかわる場面では確かにこれを知らないと話にならないか。
脱臼の修復は学ぶのも教えるのも楽しみです…が、実際の患者で練習するわけにもいかないし、訓練キットの購入が必要になってくるかな。脱臼修復で一番トリッキーなのは指だと思うんですよね、簡単そうで、あれ奥が深いんですよね、意外と。
足底板やキャスティングについては少し含みのある表現になりそうですが、Customized orthoticsの作り方を教えるプログラムも出てくるってことですねー!むー、私が学生の立場なら是非これを教えてくれるプログラムに学びに行きたいもんです!

[必修項目に含まれると思われていたけれど、ぎりぎりで外されそうなものたち]
・血液検査(採血)
・ECG
・縫合
血液検査(採血)、ECGについては「やり方を実際に学ぶか、そうでなければ適切なreferをして、できるヒトにしっかりと繋げられるようにする」という表現に留まりそう。
縫合も確実に入るかと思ったのですが…"wound care and closure"という緩めの表記にこれもなるそうで。つまり、"suture (縫合)"という言葉は明記はされず、例えばsteri-stripsを用いたwound closureでもOKという感じになりそうだとのこと。
ぬぬー。これについては少し残念な気もするのですが…。Public commentからのフィードバックに基づき、こういった幅を持たせた表現が最も適切だと決められたのでしょう。別に認定プログラムが採血、ECG、sutureを教えられないわけじゃない。むしろ教える自由はプログラムに委ねられており、それを躊躇するプログラムにはその自由をdeclineする選択肢がついている、という風に私は捉えています。私の一存で決められるものなら、これらの内容はそりゃーもう、うちの学生には絶対に教えたいです。

それから、この学会で幾度も、CAATEは国境を超えATのグローバリゼーションを推奨していく、海外との提携とも広げていくという表現を耳にしました。既に海外のプログラム2つが認定に向けて準備を進めており、CAATE曰く、「カナダ、イギリス、アイルランド、日本、スペインとの提携を視野に入れている」んだそうです。非常に勝手で個人的な感想ですが、私はここで母国の名前を目にして非常に嬉しく思いました。こんな素晴らしい機会を我々が掴まない手はありません。是非私が生きているうちに日本CAATE認定のプログラム第一号誕生の実現を目にしたいものです。逆に言うと、この波に日本が乗らなければいよいよ日本のATは末期かもという危機感も抱いています。CAATEの教育水準と少なくとも競える内容を教えていなければ、向こうだって興味を無くすでしょうから。変わるなら今です。これらの一押しが日本でのATという(いや別に違う名称だっていいんですけど)医療資格としての確立、教育カリキュラムの統一などに力を入れるきっかけになればと願っています。

以前某書でアメリカのATは思春期を迎えた中学二年生の子供のようなものである、と書きましたが、今回の学会で、いよいよ今中学三年生に進学し、卒業・高校進学を視野に入れてめきめき成長を遂げていっているなぁ、という印象を強くしました。なんだか気が付けば顔も大人びてきて、一気に頼もしくなってきているではありませんか(何様だ、という感想ですけども、いやほんとに客観的に見て)。高校での3年間は濃密で、心も体も一気に成長する時期です。一度高校に入れば、アメリカのATは爆発的な成長を遂げるでしょう。これからどういう風にこのProfessionが舵を切り、方向を定めて成長していくのか楽しみでなりません!

一方で、これらの必修項目改訂を目にして、なんだこれは、知らないものばかりだと少しそわそわと落ち着かない気分になるATの方もいるかもしれません。その気持ちを是非大腕を広げてギュッと受け止めてやってください。貴方の中に湧き上がるそのdiscomfortこそが、他でもない、この職業が進化し続けているという揺るがない証拠なのです。ATCというcredentialを持って活動している以上、我々は最新の知識を得、新たに需要が生まれてくる臨床スキルを習得する責任と義務があります。資格を取って、BOC合格してオワリ、ではないことは覚悟してみなこの業界に入ってきたはずです。これから様々な学会や勉強会で今回のブログに書いたような(i.e. 脱臼の整復、静脈注射、マニピュレーション)分野の技術・知識を学ぶ機会が皆さんの目の前に現れることでしょう。是非その機会を活用してください。自分が知らないこと、苦手だと思うこと、どんどん積極的に勉強していってください。時代のニーズに合ったAT像を、我々個人がしっかり追い求めなければ、我々はあっという間に用無しと言われる対象になってしまいます。
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変わることを恐れていては、ロクなことがないんです。アメリカAT界は、今までに2回恐怖感から身体をすくませ、それが原因で重要な機会を逃がしています。一回目は、もう何十年も前。全米規模で高校でAT雇用を強制化しようという法案が生まれたのですが、実はそれを採決手前で取り消したのは他でもないATら自身でした。「そんなに膨大な数のATを全米規模ではとても輩出しきれない」と恐れ、二の足を踏んだことが原因だったそうです。もし、その法案が可決していたら、今日のアメリカスポーツ医療界にはどんな景色が広がっていたでしょうか。
二度目は、インターンシップ制度を廃止し、カリキュラム制度のみに切り替えるその決断時期でした。まだ要るんじゃないか?もう少し続けようか?皆嫌がるかな?と無くすことを恐れた結果、インターンシップ制度廃止をするタイミングを逸し、長く続けすぎてしまったのです。フレームワークの無い職業育成はクリニシャンの幅を上へも下へも際限なく広げ、結果、この業界そのものの成長を妨げる原因になってしまった。これらの「足踏み」を後悔している熟練ATの懺悔を何度も耳にする機会がありました。
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さぁ、我々は3度目の大きな試練を迎えています。Health Care Teamの一員として、我々は初めて他の「オトナ」の座るディナーテーブルへの招待券を得たのです。私たちはしっかりと身嗜みを整え、正しいテーブル・マナーで、他の職種の人たちと同じ言葉を喋り、ウィットの効かせた会話を広げながら、お食事を楽しめるようでなければなりません。

こんなところにカーキにポロシャツで来てはあまりに場違いですし、エビデンスのエの字も知らないようでは我々は会話に混ぜてもらうことすらできないでしょう。言いたいことは分かりますよね。このテーブルでチーム医療の一端を担うメンバーとして適切に振る舞うことができなければ、「やっぱりまだ早かったみたいだね」とオトナたちに苦笑されるのは目に見えています。そうなれば、我々が次にこのテーブルに招待してもらうまでもう10年はかかることでしょう。慣れない「オトナ」のテーブルに座るのは少し居心地が悪い、でもせっかくの機会を怖がっていてはいけないのです。3度同じ過ちを繰り返すことが無いよう、躊躇することのないよう、息を吐いて帯を締めて、勇気をもって一歩を踏み出しましょう。できないんじゃないか?という恐れに身を任せ、歩みを止めることが最大の悪。知らないことを知らないと認める潔さと、変わることを恐れない勇気さえあれば、我々はもっともっとどこまでも進んでいけるはずなのです。

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  # by supersy | 2017-10-17 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

運動中の適切な水分補給に関する最新NATA Position Statement。

Hypohydration vs Hyperhydration。防ぐべきはどっち?(2012年6月13日)
EAHおまけ。そしてキャンプ終わり!(2012年6月14日)

脱水を予防しようとするNATAのFluid ReplacementのPosition Statementと、水の飲みすぎを予防しようとするInternational Exercise-Associated Hyponatremia (EAH) ConferenceのConsensus Statementがいかに食い違っているか、Heat Illness/Dehydration予防とEAH予防の境目はどこなのか…などについて昔まとめたことがありました。

『恐らくもう少しでUpdated NATA Fluid Replacement Position Statementも新たに出版されると思うのですが、ここ5年ほどで高まったEAHのawarenessがどれほど反映されるのか、他の問題(高体温症・脱水)と比べてどれにどれほど重きを置くのがATとして相応しいのか等、組織としてNATAがどういう判断をするのかとても楽しみになってきました。』

…と昔の記事は締めくくられていますが、いやー、あれから4年!かかりましたね!ついに新たなPosition Statement1 が発表になったのでまとめておこうと思います。
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まず目に付くのはタイトルの違いですよね。以前のタイトルは『National Athletic Trainers' Association Position Statement: Fluid Replacement for Athletes』だったのが、今回は『for Physically Active』に。より対象を広げることで、例えばレクリエーショナル・ランナーといえども、ultra-distance走ったりトライアスロンしたり、かなりの強度の運動をする人が増えてきているじゃないですか、こういう方たちにもこのガイドラインを活用して欲しいと言う願いが込められているんじゃないかなと思いますよね。

イントロからしてかなり面白いです。個人的に自分にremindしておきたいことを箇条書きにしておきます。
 - 半数以上のプロ、大学、高校のアスリートは、練習に来た時点で既に脱水状態にある
 - 喉の渇きに従い、自主的に水を飲んでいるだけでは、失った水分の2/3程度しかreplaceされない
 - 人体から熱を逃がす最も効率の良いメカニズムが発汗とその蒸発であるから、身体の中の水分が失われると深部体温が上昇することになる(= 効果的な体温調節には適切な水分補給が必要不可欠)
 - そんなわけで脱水しすぎはもちろん良くないが、逆に水を飲みすぎてもEAHになる。EAHはteam sportsで起こることは稀だが、distance athletesの10-20%には起こるという決して珍しくは無いconditionである

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冒頭に各用語の定義があるんですが、これがものすごくhelpfulでした!!私、いくつかの用語を勘違いして理解していた!私なりの理解を図にしてまとめてみました(↑)。まずは体内に理想的な水分がある状態がEuhydration(水分の損失・獲得が本来の体重の±1%以内)、そこから水分を失うプロセスのこと(左方向へのシフト)をDehydrationといい、それによってできた状態のことをHypohydration (体内の水分移行のスペクトラムで水分が不足したendにいること)というんです。逆に水分がありすぎる状態はHyperhydrationと呼ばれます。私、HypohydrationとDehydrationは同義語なのだと思ってた!Hypohydrationの状態が作られるのにDehydrationが起こらなければいけないのは一目瞭然ですが、Dehydrationが必ずHypohydrationを伴うわけじゃないんですね(なぜならHyperhydrationからEuhydrationになるそのプロセスもDehydrationだから)。ほえーすげくアタマがすっきりしーたー。

推奨事項 *私が個人的に覚えておきたいもの
1. 普段の生活において、一日にどのくらいの水分を摂取し、どれほどを排泄で失うのかは個人差が大きく、同様に運動中の発汗率、喉の渇きの感覚や自主的な水分補給の度合いにも大きな個人差が存在する。故に、水分補給の指針もその人に合ったものでなければならない 推奨度・A
全ての人に当てはまる普遍的な推奨事項を作ることは不可能である、とも断言していますね。理想を言うならば、様々な練習環境を想定して、Sweat rateのassessmentを数回行えと。発汗率は一時間当たり少ない人は0.5L、多い人は4.0Lもあったり、発汗による塩分のロスも一時間当たり0.2~7.3gと個人差が大きいから…と確かにそういう数字を示されると…うーむ…もちろん追及していけばそういうことになるんでしょうけど…。でも同じ人でもプレシーズンとインシーズンで数値も変わってくるでしょうし、moving targetを追って何度も計測を繰り返すのは現実なかなか実践が難しいと感じます。特にDivision IIやIIIの大学で、アスリートの数に対してATが見合わないところではまず不可能かと。いや理想なのはわかるんですよ、わかるんですけども。

2. HypohydrationもHyperhydration(ここではHyperhydrationとEAHがinterchangeablyに使われていますね)も過度になれば命に関わる。初期症状は喉の渇き、倦怠・疲労感、頭痛に嘔吐と酷似しているが(Hyperhydrationでも喉が渇くんだ…)、後期の症状は:
Hypohydration - 喉の渇き、胃痙攣、暑いや寒いなどの体感異常
Hyperthydration - 異常な発汗、精神異常に癲癇
など、区別が付きやすく変化してくる。ここまで進行する前に、少しでも早く正確に診断しようと思ったら血液検査や体重測定が必要である 推奨度・B
なるほど確かにCNS involvementがあるかどうかで患者がHydration Spectrumのどこにいるかはアタリがつけられるかもしれません。しかし、Hypohydration状態でEHSも併発していればEAHとの区別化はほぼ不可能でしょう。この場合はRectal Tempを使っての診断分けが必要不可欠になってくるのではと思いますね。ここらへんは、今回のPosition Statementでは触れられていませんが。

3. 1%のHypohydrationで体温調節能力が低下し、>3%のHypohydrationでExertional Heat Illnessのリスクが中(moderate)から上(severe)へと跳ね上がる 推奨度・B
運動中、1%水分を失うたびに深部体温が0.15~0.20℃上がるという記述もありました。あと、1%失うあたり、毎分心拍数が3-5回上がるとも。面白い、そんな比例関係知らなかった…。めもめも。

4. EAHはHypotonic fluids(水はもちろん、スポーツドリンクも含む)の飲みすぎで起こる。一時間以上の運動をしたあと、体重が増えているということは水分補給に対して排泄が追いついていない、EAHのリスクを高めている、ということなので、運動をするヒトは運動前・後の体重を量り、どの程度が「飲みすぎ」なのか学んでおく必要がある 推奨度・A

5. ATはEuhydration (±1%)をプロモートし、運動後の水分のロスを2%以内に保つ努力をするべきである 推奨度・A

6. Individualized Hydration Planを作る際に考慮すべきは発汗率、練習環境、Acclimatization (acclimatizeしていればいるほど、運動中かく汗の量は増えるが失う電解質は減る=損失を最低限に抑えたまま、効率良く体温を下げる汗がかけるようになる)、身体の大きさに運動の長さ、強度、そして個人の飲み物の好みとfluid tolerance (どの程度の水分を無理なく飲めるか)である。摂取した水分がどれほどの早さで身体を出て行くかは飲んだ水分の量、温度、浸透圧、pH、炭水化物濃度…など、様々なものの影響も受ける 推奨度・A

7. 水分は練習前、中、後の何時でも気軽に手の届くところに準備されているべきである 推奨度・B

8. ATは練習中のWork-to-Rest Ratio (運動vs休憩の割合)、水休憩の頻度などを定めたポリシーを作り、コーチやAdministratorと協力してimplementすべきである 推奨度・B
これ…さらっと書いてはありますが相当な時間と労力のかかることだと思います。なんか…こういう言い方はなんですが、最近は何でもかんでもポリシー作成ですね。重要性は痛いほど分かるのですが、脳震盪に学業復帰、精神疾患に喘息に感染症に歯科の怪我、サプリメントに落雷、熱中症に糖尿病と、我々はいくつのポリシーを作らなければいけないのか。そしてそれを実践するために、どれだけの人数の人たちと日常的なコミュニケーションを積まなければいけないのか。ATの責任は年々膨れ上がるばかりで、このままでは我々自身が潰れてしまう可能性も十分に考えられます。もう少し上手い責任のdelegationの仕方もこれから考えられなければいけない課題なのではないでしょうか。個人的な感想なんですが…。

9. カフェインは運動中の人間にとっての利尿作用はない。なので、過度でさえなければ、運動前、運動の最中のカフェイン摂取をATが止める必要は無い。 推奨度・A
これ、結構長く言われていることだと思うんですけど、未だに「アスリートのカフェイン摂取=悪」だと言う人いますね。推奨度・Aなので知っていなければいけない事実ですね。

10. アルコール濃度は4%以下であれば運動している人間にとっての利尿作用はない。4%より高い場合は利尿作用が買ってしまうので水分補給のドリンクのチョイスとしては不適切である 推奨度・B
まぁ…これは脱水以外の効果もあるのでスポーツ後に嗜むくらいはともかく、スポーツ中にごっきゅごきゅ飲むものではないと思いますが…。

11. 朝一番の尿をサンプルとした尿検査(特にspecific gravity値)は当人のHydration statusを見極めるのに有効である 推奨度・B

12. 本人の水分補給の目安として、喉の渇き、尿の色、どのくらいの頻度でトイレに行っているか…などを考慮することは有意義なバロメーターである 推奨度・C

13. 中(2-5%)・重度(>5%)のHypohydrationの場合でも、可能な限りは経口水分補給を行うべきである。本人が積極的に水分を取れない場合、もしくは脱水が止まらない(嘔吐や下痢など)場合にのみIVが使われるべきである。Hypohydrationが認められない患者に予防目的でのIVは行うべきではない 推奨度・B

14. 子供は成人よりも発汗が低く(推奨度・B)、50歳を超えた人は喉の渇きを感じにくくなる傾向がある(推奨度・A)。これらを考慮に入れた、年齢別の水分補給法が作られるべきである

運動開始時に既にhypohydration状態である、ということを避けるために、そして運動中のリスクを最低限に抑えるために、可能であれば練習に臨む時点で1%くらい(2%未満)うっすらHyperhydrateしているのが理想的なんですね。なるほどなるほど。

少し意外だったのが、「自分の発汗率を把握している場合はそれに沿ったRehydrationを、そうでなければ水を飲みすぎるリスクを防ぐために、喉の渇きを指針に水分を補給するのが恐らく安全だろう」という表記です。以前のPosition Statementは「喉の渇きを指針にしていてはHypohydrationになってしまう(= 渇きを感じる前に積極的に水分を補給せよ)」という書き方がされていたはずですから、ここはInternational Consensus Statementの「喉が渇いたときにのみ水を飲め」という主張が勝ったことになります。しかし…冒頭で「喉の渇きに突き動かされるまま水分を補給していたら失った水分の2/3ほどしか飲まない」とも言っていたではありませんか。「喉の渇きに従えばいい」という急な指針路線変更は先のStatementと自己矛盾していますし、あまりに大雑把では?これは本当に「安全」と呼んでしまっていいのか?これが「安全」ならそもそもどうしてわざわざSweat Rateを計る必要があるのか?と、ここまで気づいてきた理論がガラガラと音を立てて崩れていくのを感じます。文章後半では、「ヒトが喉の渇きを感じるのは水分損失が2%に近づいたとき」とも書いていますから、喉が渇いたことを指針にしてしまっては2%のHypohydrationを許してしまうことになります。これは前述の「ATはEuhydration (±1%)をプロモートし、運動後の水分のロスを2%以内に保つ努力をするべきである 推奨度・A」という推奨事項とも食い違います。「喉の渇きを指針に水分を補給するのが恐らく安全だろう」というこの箇所だけは、今回のPosition Statementで個人的には賛成しかねる箇所です。

私が結局煮え切らないのはここなんですよね。Sweat rate計測してIndividualizedしたHydration Planが理想なのはわかる。それが無理だった場合、どうやってHypohydrationとHyperhydrationのリスクのバランスを取ればいいのか?前述しているエビデンスを見る限りではTeam Sportsで、通常1-2時間程度の練習であればHyperhydrationのリスクのほうが低いのだから、どちらかというと水分補給は気持ち早め、気持ち多めをモットーに、「喉が渇く少し前に意識して」「喉が潤ったと思ってからも一口二口おまけにごくごくっと飲む」くらいにしておいたほうがよっぽど現実的なのではと思ってしまうのですが…。今回の推奨ではそういう表現は全くされていません。

…とまぁ、最後だけ噛みついてしまいましたが。全体的には非常に勉強になることの多い、素晴らしいPosition Statementです。ATCを持ってらっしゃる皆さんはぜひこの機会にご自分でもご一読くださいませ。つーか、255もの参考文献を使い、まとめられた論文って初めて見ました。推賞度も今までのPosition Statementに比べて高いものが多いです。この12ページのPosition Statementに、現存の人間の英知が詰まっていることを実感しますね。これを書いて下さった専門家様の膨大な尽力と費やされた数え切れない時間に感謝して、さぁこの知識が一人でも多くの現場の人間に届くように、我々も我々にできる努力を重ねようではありませんか。

1. McDermott BP, Anderson SA, Armstrong LE, et al. National athletic trainers' association position statement: fluid replacement for the physically active. J Athl Train. 2017;52(9):877-895. doi: 10.4085/1062-6050-52.9.02.

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  # by supersy | 2017-10-11 22:00 | Athletic Training | Comments(0)

膝の前十字靭帯再建時に、前外側靭帯(ALL)も再建されるべきなのか?最新エビデンスまとめ。

膝に靭帯が新しく見つかった!? - Anterolateral Ligament of the Knee (2013年12月23日)

膝の新しい靭帯、Anterolateral ligament (ALL)が見つかった、という記事をまとめたのはもう4年も前なんですね。その際、記事の最後にこんなことを書いていたようです。

『ACLの再建手術って、実は成功率が高いとも言えなかったりする。グラフトが切れてしまうこともあるし、慢性的な術後の膝の痛み、グラグラ感、カタさを訴える患者さんは多く、骨関節炎を若いうちに発症する可能性も上がる。これらは、もしかしたら私達がALLという靭帯を全く視野に入れてなかったことから起こっているのかも?もしかしたら、ACLの再建手術の前に、患者のALLの状態が健全なのかも調べ、もし損傷があればこちらも再建したほうが、膝の安定性・機能回復には理想的なのかも知れない。』

…んで。その再建手術に関する研究も4年の歳月の間にじわりじわりと進んでいるようです。今回は今年8月に発表されたこの論文(↓)1 を読んでみようと思います。
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ALL再建テクニックはここまでに数種類報告されているらしいのですが、中には内旋制限を生みすぎてしまうのでは?という懸念も出てきていたりするんだそうです。そんなわけで、このシステマティックレビューではここまで文献で紹介されたALL再建の各テクニック、そのテクニックが生むバイオメカニカルな影響と、臨床的アウトカムのレビューと比較をおこなっております。あんまりこのトピックは追いかけていなかったので、こうしてさらっと色々カバーしてくれているところがありがてえー。

最終的に分析に含まれたのは12の文献で、うちテクニックに言及したものは6つ、バイオメカニックス分析をした研究が5つ、clinical outcomeを推し測った研究は1つだったそうな。

●再建テクニック
5つの研究はACL + ALLのコンビネーション再建テクニックについて、ひとつはALLの単独再建についてだったそうなんですが、気になったのがALL再建時のProximal Attachmentの違いです。全6テクニックのうち(↓)、A・B・C・Eは"Posterior and proximal to the femoral attachment of the LCL"、D・Fは"anterior and distal to the lateral epicondyle (大腿骨の外側上顆)"なんですよね、distal attachmentはGerdy tubercleとFibular headの中間と、一貫性があるんですけど。
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●バイオメカニックス分析
Anterior Tibial Translation(脛骨前方移動量)、脛骨IR(内旋)に対する耐性、 Pivot Shift Testの結果などが報告されているそう。言及しておきたいのが、Posterior/Proximal Attachmentを使った2つの研究がIRに過度な制限(overconstraint)が認められた一方で、Anterior/Distal Attachmentを使った2つの研究ではIR過制限なしだった、というところでしょうか。
もうひとつ、膝の0-120°の屈曲・伸展の動きの中でどういうグラフト位置だとグラフトにかかるテンションが代わるか調べたものもあり、この研究によれば「Posterior/Proximal、詳しくは大腿骨の外側上顆から4mm後方、8mm近位をグラフト位置として使うと、膝伸展時にもグラフトにテンションがかかりにくい」んだそう。ALRIをコントロールするにはPosterior/Proximalがいいのでは、というのがこの論文の結論ですね。伸展時にALRIが出やすいということなので。
そんなわけで、Posterior/Proximalのほうが膝が安定させやすいが、そのぶん過制限も生むのでは?みたいな傾向は見て取れますね。うーむ、stabilityとoverconstraintを取るのか、instabilityとnon-constraintを取るのか?『最善』はもちろんその間にあるんでしょうなぁ、現時点でこのグラフト位置が最高!というのは一概に言えないようです。

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●臨床的アウトカム
この論文で紹介されているひとつの研究(↑)2 は、比較研究ではなくあくまでcase seriesなので、強いエビデンスとは言えないのですが…。ざっとまとめると、ACL + ALL再建手術を受けた92人の患者(平均24±9歳)を平均32.4±3.9ヶ月(最低でも2年)経過後にfollow-upした結果、15人(16.3%)に合併症が認められたそう。詳しくは、1人(1.09%)がACL再断裂、7人(7.61%)が逆側のACL断裂、1人(1.09%)がcyclops lesionのため、二度目の内視鏡手術を受け、1人(1.09%)が部分的外側半月板除去手術を、5人(5.43%)が部分的外側半月板除去手術を受けたそうな。最終的には、92人中65人(70.1%)がpre-injury level of activityに戻れた、と。ACL再建のみと比較していないのでなんとも言えませんが、手術した膝に限っての再断裂率(1/92, 1.09%)は決して悪くないのでは?と思いますね。
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これに関しては、実はもうひとつ興味深い論文(↑)3 が出ています。これは今年6月に発表された新しいものなので、今回のシステマティックレビューでは言及されていません。少しだけまとめておきますね。103人のACL損傷患者(全て男性)をランダムにGroup A: ACL + ALL再建手術組(53人、平均26歳)と、Group B: ACL再建手術組(50人、平均26歳)にわけ、平均27ヶ月後に1) 諸症状の有無、2) Anterior Drawer Test, Lachman Test, Pivot Shift Testの結果、3) KT-1000、4) Lysholm Knee Score, Tegner Activity Score, IKDC Scoreをチェックした、というこの研究。結果をざっくり言ってしまうと、KT-1000意外の結果はグループ間に大差なし(p > 0.05)…なんですが、KT-1000だけはグループAが20 poundのチカラで平均1.3mmのtranslationが生まれたのに対し、グループBは平均1.8mm (p < 0.001)と0.5mmの差が確認されました。グラフトのテンションに関して、0.5mmという差は確かに大きいような気もします。Complicationは両グループ共にほとんど報告されず(グループAの患者のひとりにsuperficial wound infectionがあったのみで、抗生物質の投与で問題なく完治)、機能や諸症状に差が無かったことを考えればこれはあくまで「この脛骨前方移動量の差は統計学的に有意でも臨床的に有意ではない」と言えるのかもしれませんが、これを3年、4年と長期的なアウトカムを追っていくともっと如実になったりはしないのか…?再断裂に繋がったりはしないのか…?という疑問は沸きます。

さぁ、そんなわけでこれらの論文をまとめてしまうと、「論文で発表されたテクニックに一貫性がなく、比較研究も少ないため、まだまだわからないことが多い」という元も子もない結論になってしまうのですが、個人的な印象としては「ACL再建時にはALLも再建したほうがいいのでは、という統計的エビデンスがin vitroやin vivoで薄っすら出始めているが、臨床的有意さにはまだつながっていない」「環境が許せば(= コストやグラフトのavailability、手術医の経験が問題でさえなければ)、disadvantageは今のところ認められないし、試してみてもいいのでは?」という感じでしょうか。Posterior/Proximal vs Anterior/DistalでRCTやって長期的(個人的には5年くらい)にアウトカムを追ってみる、みたいな研究が将来的に出てこないかなーと楽しみにしています。

1. DePhillipo NN, Cinque ME, Chahla J, Geeslin AG, LaPrade RF. Anterolateral ligament reconstruction techniques, biomechanics, and clinical outcomes: a systematic review. Arthroscopy. 2017;33(8):1575-1583. doi: 10.1016/j.arthro.2017.03.009.
2. Sonnery-Cottet B, Thaunat M, Freychet B, Pupim BH, Murphy CG, Claes S. Outcome of a combined anterior cruciate ligament and anterolateral ligament reconstruction technique with a minimum 2-year follow-up. Am J Sports Med. 2015;43(7):1598-1605. doi: 10.1177/0363546515571571.
3. Ibrahim SA, Shohdy EM, Marwan Y, et al. Anatomic reconstruction of the anterior cruciate ligament of the knee with or without reconstruction of the anterolateral ligament: a randomized clinical trial. Am J Sports Med. 2017;45(7):1558-1566. doi: 10.1177/0363546517691517.

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  # by supersy | 2017-10-08 21:30 | Athletic Training | Comments(0)

12月17・20・21日のEBP講習in東京 & 熱中症対策に防具脱衣は必要か

最初は告知です。

EBP講習がパワーアップして帰ってまいります!今までの「評価編」「治療介入編」「予防医学編」の基礎レベルの講習3つに加え(各3時間、それぞれ3 EBP CEUs)、臨床応用レベルの講習が新たにふたつ追加されました(「治療アプローチ・AMI編」「治療アプローチ・腱障害編」、各2時間、それぞれ2 EBP CEUs)。全5講習に出席すればなんとBOC EBP CEUが13.0も獲得できてしまうという良い機会ですようー。日程と構成は以下の通りです。

ちなみに、基礎レベルの講習は「エビデンスに基づく…」とかよく聞くけど、どういうことか実はよくわからない、今更ヒトにも聞きにくい、という完全初心者さんウェルカムな講習で、むしろエビデンスに対して苦手意識のある方にこそ来ていただきたいと思っています。エビデンスって思ったほど難しくないや、結構楽しいかも!と思って帰っていただければそんな幸せなことはありません。全講習、参加者の資格は問いません、学生さんも大歓迎です!もちろん、リピーターさんも(リフレッシュにまた、という方も結構いらっしゃいます。BOC-CEUも、サイクルが異なれば再履修しての再申請が可能です)!

<講習日時>
2017年12月17日(日)
9:30am-12:45pm  エビデンスに基づく治療介入: 基本から応用まで
           *途中休憩15分含む3時間講習
12:45pm-14:00pm 昼食(各自)
14:00pm-16:00pm エビデンスに基づく治療アプローチ: AMIと抑制解除療法 (NEW!)
16:20pm-18:20pm エビデンスに基づく治療アプローチ: 腱障害リハビリ (NEW!)

2017年12月20日(水)
18:20pm-21:35pm エビデンスに基づく予防医学: 基本から応用まで
           *途中休憩15分含む3時間講習

2017年12月21日(木)
18:20pm-21:35pm エビデンスに基づくスポーツ傷害評価: 基本から応用まで
           *途中休憩15分含む3時間講習

今回お届けする新作講習ふたつはどちらも「臨床応用レベル」の講習で、今まで教えてきた「基礎レベル」の講習から一歩踏み込み、p値や効果量というコンセプトを踏まえた上で実際に臨床の現場で皆さんがぶつかっていそうな症例にとびかかり食らいついていきます。「エビデンスに基づく治療介入: 基本から応用まで」講習の事前履修を強くお勧めしますが、必須ではありません。p値や効果量の何たるかがわかっている方であれば問題なく楽しめる内容になっております。
AMI編では「Arthrogenic Muscle Inihibition (関節因性筋抑制)って何?」「どんな悪影響がある?」など紐解いた後で、「では、実際に現場ではどうすれば?」というところまで、腱障害編では「腱障害とはなんぞや?」「エキセントリック・エクササイズってそんなに効くの?」という話をしてから、「では、実際に現場で腱障害の患者がいたら、どうすれば?」というところまでをエビデンスを探し、読み解きながら検証します。「エビデンスを探す」部分では、私の愛用するPubMedのちょいとした小技もご紹介できればと思っています。

<会場>
〒190-0022 東京都立川市錦町3-3-20
   JR中央線立川駅南口より、徒歩13分
   JR南武線西国立駅より、徒歩7分
   多摩モノレール立川南駅より、立川南通りを直進、徒歩12分

<定員> 12月17日各講習45名、12月20・21日各講習90名

今回も主催は高橋さんにお願いしています。お申し込みはGuardians Athletic Training & Therapyのウェブサイト上のこちらから。参加は一番興味のあるコースひとつだけでも、お好きな組み合わせで2つや3つでも、5つ全てでももちろん可能です(お手数ですが、複数講習参加する場合は、リンク先から各イベントひとつずつお申し込みください)。複数参加される方には前々回から導入した『セット割引』システムが適応、そして『学生割引』も健在です。

<受講料> 
一般 3時間講習(基礎編) 各9,000円; 2時間講習(臨床応用編) 各6,000円
   2講習同時申込で10% off
    (例: 基礎講習2つで1,800円引き、基礎+臨床応用で1,500円引き)
   3講習以上同時申込で15% off
    (例: 基礎講習3つで4,050円引き、基礎1つ+臨床応用2つで3,150円引き)
学生 3時間講習(基礎編) 各8,100円 (10% off - 900円引き);
   2時間講習(臨床応用編) 各5,400円 (10% off - 600円引き)
   2講習同時申込で20% off
    (例: 基礎講習2つで3,600円引き、基礎+臨床応用で3,000円引き)
   3講習以上同時申込で25% off
    (例: 基礎講習3つで6,750円引き、基礎1つ+臨床応用2つで5,250円引き)
     *現役大学・専門学校生(国内外不問)さん対象。申込後に学生証の提示が必要です、

より多くの皆様にお会いできるのを楽しみにしております!セミナーの内容に関して質問があればここのコメントか私に直接ご連絡ください。会場、参加費など運営に関しての質問は高橋まで(tdtakahashi@guardiansatt.com)お願いいたします。



以前、「アメフト選手が熱中症(Exertional Heat Stroke)になった場合、Cold Water Immersion (CWI)最中に防具を外すべきなのか?(2015年11月1日)」というブログを書きました。このときに紹介した論文1 では、「むしろ防具はつけたままのほうが冷却効果が高いのでは」という結論でしたが、いくつか他の論文を目にしたのでてれーとまとめておきます。
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まずはこちら2。2015年発表。
前回も書いた通り、現行のNATA Position Statement3 は「選手が(shoulder padや幾層ものユニフォームなど)過度な服を来ていた場合、もちろん脱がせたほうがcoolingの効果は上がるのだが、それに時間が取られた故にcoolingが遅れるほうが致命的なので、これは冷水の中でやること」と明記しており、つまりは「脱がせるべきである」というスタンスを取っています。

この実験では2、18人の健康な男性被験者(平均22±2歳)にフル装備を着けた状態で、室温40℃の人工気候室で運動をしてもらい、直腸温が39.5℃のhyperthermiaになった時点で: 1) 防具装着したまま vs 2) 防具脱衣して; CWI(水温10℃)治療を開始し、体温が38.0℃まで低下するのにかかった時間の比較をおこないました。防具脱衣に平均1.2±0.2分かかるので、39.5℃になってからトレッドミルで歩き続けながら(体温を下げないことが目的だと思われる)、1) 脱衣無しの場合は靴だけ脱いで、脱衣にかかる分の時間歩き続ける vs 2) 防具脱衣の場合は脱衣する、という細かいプロトコルを採用。つまり、体温が39.5℃になってからCWI開始までにかかる時間を平等にして実験に臨んでいるわけです。これは、hyperthermiaを認めたらすぐに治療を開始する現場とのギャップはありますが、比較実験のデザインとしてはよくできてますよね。ちなみに被験者の体脂肪なども計測したり、尿検査を事前に行い脱水状態にある被験者は同日の検証ができないなど、ここでは省いていますが細かい指定も多くあり、かなり丁寧に作られている印象です。

で、結果ですが、やはり防具を脱いだほうがcoolingは効果的であった、と。冷却率は毎分当たり防具有 0.21 ± 0.11℃ vs 防具無 0.28 ±0.14℃で、統計的に有意な差がある(p = 0.02)一方で、患者自身の身体の冷えの感覚も、震え(shivering)の開始タイミングや有無もグループ間で大差はなかったそう。この論文では、「統計的な差は認められたものの、両冷却率共に『acceptable』とされる数値は超えている(>0.16℃/min)し、この差は臨床的な価値は伴わないであろう」と結論でまとめられています。同時に、防具を付けたままのほうが震えが起きにくいのではないか、患者の精神的負担も減るのではないか、というargumentもdefeatされた形になり、防具をつけたままでいることに特に目立ったメリットはないことにもなります。なるほど、これらはたしかに尤もに聞こえますね。まぁつまりどちらでもいいのだと。

ATや防具に精通した専門家が対応しているならともかく、bystandersが救護をおこなっている場合には、ユニフォーム脱衣をしようとしてプロセスをこんがらがらせるよりも、シンプルに「着たまま」でやってもいいのでは、ということなんだそうです。熱中症になるアメフト選手は1) 肥満体形が多い、2) CNS dysfunctionの影響でイライラ攻撃的になっていたり、意識が消失していたりする可能性があることも考えれば「シンプルさ」を追及・推奨しようというのは、一般の人相手には良いかもしれません。防具のせいでprognosisが悪くなることは、少なくともないというのですから。
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次です。こちらは2017発表のもので4、ほとんど似たような研究を水温10℃のCold Waterではなくて、水温21℃のTemperate Waterでやってはどうか?というのを検証しています。つまり、氷が現場で出に入らない場合の苦肉の策として、Temperate-Water Immersion(TWI)、つまり、水道水程度の温度でも冷却が可能化か、ということを調査したわけですね。

被験者は男性13人と少なめ(平均22±2歳)。防具有りと無しでの冷却率は毎分あたり0.12±0.05℃(95%CI 0.09-0.15℃)と0.13±0.05℃(95%CI 0.10-0.16℃)で、統計的に有意な差はなかったそう(p = 0.79)。患者の温度の体感も差は認められなかったとしています。研究の考察には「両状況共に『acceptable』ではあるが(>0.08℃/min)、『理想的』とは呼べないレベルの冷却効果が認められた」まとめられています。ん?先ほどの研究ではacceptableというのは>0.19℃/minと定義されていたはずだけど?いつの間にその半分以下でもacceptableになったんだ?>0.08℃/minが本来の『acceptable』で、>0.19℃/minは『ideal』ということ?何かを定義したり、cut offを設けるならば、一貫性を持ってほしいです。…まぁともあれ、「TWI(水温21℃)はCWI(水温10℃)ほど効果的でないというのは明らか。深部体温が42℃から38.6℃に下がるまでに、CWIだったら13.9分かかるところが、TWIだったら約二倍の26.2分かかることになる」というのが考察部の結論です。30分以内の身体冷却ができれば生命の危機は脱せられる可能性が高い、と一般的には言われるので、理論上prognosisには大差が出ないかも、とも書かれていますが、救急時の13分は永遠にも感じられるでしょうから、早いに越したことはないですよね…。最善を尽くさず、患者に何かあってもいけませんから。なので、「可能であればCWIを、氷が無ければTWIを」「防具脱衣は二の次、まずWater Immersionを開始し、水の中で脱衣をおこなうこと」というのが最終的な結論、といったところでしょうか。
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ついでにというかなんというか、おまけです。この研究5 では、17人の健康な被験者(男14人、女3人、平均23±2歳)が前述の2つの実験同様、運動して体温が39.5℃に上がるまで運動→38℃になるまでCWI治療というプロトコルに参加。この際、食道温(鼻から計測器を食道へ入れるらしい…うへぇ!: 比較スタンダードとして計測された)と、3つの異なる深さで計測した直調温とを比較。体温計を肛門から4cm, 10cm, または15cmの深さまで挿入した場合のどれが最も食道温に近かったか、比較してその差を検証しました。
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文中のFigure 1(↑)を見てみると、食道温(黒で表示)は意外にも計測時間中一貫して最も低かったのに対し、直腸温は深ければ深いほどより食道温に近い、という結果になっています。最初、私、「冷却期間中の食道 vs 直腸温度の差がかなり大きい、unacceptableなのでは?」と少しハラハラしたのですが、アレですよね、一番大事なのは運動中の深部体温変化が正確に追えているか、つまり、Exertional Heat Strokeを見逃すことなく正確に認識・診断できるかのはずです。そういう意味では、運動中の体温の変化にほぼ完ぺきな相関性が見られることは素晴らしいと言っていいでしょう。もちろん、冷却中の温度変化も一致するにこしたことはないと思うんですけど…。冷却率は食道: 0.79±0.16℃/min、直腸4cm: 0.24±0.13℃/min、直腸10cm: 0.24±0.13℃/min、直腸15cm: 0.28±0.12℃/min…と、食道 vs 直腸ではハッキリとした差が出ています(all p < 0.05)。NATA Position Statementには、直調温が39.0℃程度になったら冷却を終了し、病院へ搬送…と書かれていますが、この研究結果を見る限りだと食道温度が38.0℃になった時点で直腸4cm、10cm、15cm の温度はそれぞれ39.09℃、39.06℃、38.99℃だったといいますから…ふむ、なるほど、「直腸温を基準にした現行のガイドライン通りのままで問題ないだろう」と、本文には書かれています。温度を測るなら、直腸温によるpelvic organの温度のほうが、食道温によるupper air wayやesophagusの温度よりもrelevantかもしれませんしね。

ATの教科書には1-4インチ(2.5cm-10cm)の様々な深さが「適切」と書かれているものの、この論文の結論としては、「柔らかい素材の直腸温度計を用い、6インチ(15cm)の深さで体温を計測するのが最も理想的である」と述べられています。我々が教えられているよりも深いほうが好ましいということですね。救急時にスムーズに実践できるよう、体温計そのものに、インチのラインがマークされていると理想的といったところでしょうか。

さて、では全てのまとめのまとめです。私の理解としては、やはり「直腸温(15cmの深さ)を計った時点で体温が40.5℃以上あればHeat Strokeと診断。患者が防具を装着している場合はまずはCold Water (理想的には10℃以下)首から下をつからせ、冷水をかき回し、体温を効率良く下げながらの防具脱衣を試みる。この脱衣は冷却効果の増大が目的というよりは、患者の心肺機能が低下した場合、適切な治療を即時実施するだめの準備行為である。直腸温が39.0℃になった時点で患者をタブから出し、病院搬送開始」…をすると、患者の生命はほぼ保証できるかなと。まぁこう書いてしまえばあまり現行のガイドライン3 と大差ないんですが、細かい論文を少し読み込めたお陰で自信が付きました。大事な数字を忘れないよう、頭に叩き込んでおこうと思います。

1. Miller KC, Swartz EE, Long BC. Cold-water immersion for hyperthermic humans wearing american football uniforms. J Athl Train. 2015;50(8):792-799. doi: 10.4085/1062-6050-50.6.01.
2. Miller KC, Long BC, Edwards J. Necessity of removing american football uniforms from humans with hyperthermia before cold-water immersion. J Athl Train. 2015;50(12):1240-1246. doi: 10.4085/1062-6050-51.1.05.
3. Casa DJ, DeMartini JK, Bergeron MF, et al. National athletic trainers' association position statement: exertional heat illnesses. J Athl Train. 2015;50(9):986-1000. doi: 10.4085/1062-6050-50.9.07.
4. Miller KC, Truxton T, Long B. Temperate-water immersion as a treatment for hyperthermic humans wearing american football uniforms. J Athl Train. 2017;52(8):747-752. doi: 10.4085/1062-6050-52.5.05.
5. Miller KC, Hughes LE, Long BC, Adams WM, Casa DJ. Validity of core temperature measurements at 3 rectal depths during rest, exercise, cold-water immersion, and recovery. J Athl Train. 2017;52(4):332-338. doi: 10.4085/1062-6050-52.2.10.

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  # by supersy | 2017-10-02 10:03 | Athletic Training | Comments(0)

生死を分けるカギは?Commotio Cordis(心臓震盪)関係の統計あれこれ。

今学期はまたしょうこりもなく一般医療(General Medical)の授業を担当しています。最初はあんなに苦手意識があったのに、3年も教えていると自分の中にそれなりに知識が定着してきているのを感じます。神経疾患、感染症、呼吸器疾患に精神疾患など、まだまだお医者さんから見たら笑われるレベルなんでしょうけど、少しずつでも分かってくると、自分が前から持っていたあの知識やこの知識と「あ!ここがつながるのか!」というところがあり、楽しいです。

さて、最近は循環器疾患の章のパワーポイントをアップデートする作業をしており、ふと思い立って心臓震盪(Commotio Cordis)についての論文を探していてこんなもの1 を見つけました。2013年と、決して新しいものではないんですが、面白かったのでまとめておきます。
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振り返ってみると、今までに過去2回ほど心臓震盪についてブログに書いたことがあるようです。

心臓震盪と心挫傷。(2007年7月29日)
大学(学士)を卒業したて位のころの記事がまだ残っていました。すごい、10年前だ…文章が若々しい…。

SEATA Conference Report 3 - Sudden Cardiac Arrest (2008年3月8日)
これは大学院一年目に学会発表に行ったときのやつです。Courson氏のプレゼン、衝撃すぎて今でも覚えてる…。

今回の論文では、過去(2012年7月まで)に米国で起こり、記録に残っている216件の心臓震盪についての詳細をレビュー。面白いんで、むほっと思ったものを箇条書きにして書き出したいと思います。

患者のプロファイル
- 患者の平均年齢は15±9歳と低めだが、年齢幅は0.2-51歳と広い
- 患者のほとんど(205/216, 94.9%)は男性
- 半数以上が白人(166/216, 76.9%)で、アフリカン・アメリカンは少数(24/216, 11.1%)
- 野球のボール、ホッケーパックなどの投射物による胸部への衝撃が原因となったものが過半数(134/216, 62.0%)

生存率
- 全体では、生存者は60/216 (27.7%)だが、時代の経過と共に生存率は著しく上昇している(p<0.001)
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- 年代別に見てみると、≦1975では0%、1976-1981は10.52%、1982-1987は8.33%、1988-1993は15%、1994-1999は15.22%、2000-2005は27.59%、2006-2012は58.49%と、最新のものでは生存率が死亡率を上回る結果に(↑)

生死を分けるカギとなる要素?
- 生存者と死亡者を比較すると、1) AEDをその場で使われた人の生存率は11/16(68.75%)なのに対し、使われなかった場合の生存率は49/200(24.50%)と、著しく低い(p<0.001)
- 2) 3分以内に心肺蘇生を開始した場合の生存率は48/121(39.67%)だが、3分より長くかかった場合は2/42(4.76%)と著しく低い(p<0.001)
- 3) 白人の生存率は(54/166, 32.5%)、アフリカン・アメリカンの生存率よりも(1/24, 4.2%)著しく高い(p = 0.023, …しかしこれはサンプル数の違いも影響を与えているか?アフリカン・アメリカンの患者のほうがAED現場使用率が著しく低かったと文中に書かれている)
- 4) 組織されたcompetitive sports(高校、大学の部活など)に参加していた場合の生存率のほうが(45/115, 39.1%)、レクリエーショナルスポーツや日常生活時(9/52, 17.3%; 6/49, 12.2%)よりも著しく高い(p<0.001)
- 大差がなかったもの(=生死を分ける要素ではない?)としては、1) スポーツの種類(野球、アメフト、ホッケー、空手、ラクロスなど, p = 0.81), 2) 胸部のパッドの有無(有14/42, 33.3%; 無30/71, 42.2%; p = 0.61), 3) 投射物の種類(野球のボール、バット、ホッケーパック、ラクロスボールなど, p = 0.66), 4) 投射物の中身(空気2/4, 50.0%; 硬いもの38/130, 29.2%; p = 0.58)

AEDが現場で使われない場合の死亡リスクはOR = 4.6(1.42-14.9, p = 0.01)、組織されたスポーツでの死亡リスクはその他(レクリエーション、日常生活)と比較してOR = 0.33(0.16-0.67, p = 0.002)だそうです。うむ、統計学的には決定的ですね。やはり3分以内のAEDの使用と、それをする環境が整っていること(= organized sportsで、スポーツ医療の知識のある人物がいること)がカギになってくるようです。時代と共に生存率が上がっているというのは心強い傾向ですよね。生存率の背景にあるのは、やはり前述した「AEDがより素早く使われる」環境がより整うようになってきているからでしょう。2017年現在のCommotio Cordis生存率は恐らく60%は越えていると推測してもいいんでしょうか…実際の数字を見てみたいものです。胸部プロテクターが今のところ効果無し、というのは以前少しだけ書きましたが、この点も今回の論文のfindingと一致しますね。以前読んだSystematic Reviewでは2、この結論で「Safety BallはCommotio Cordis予防効果があるが、Chest Padのそれは統計的に有意ではない」とまとめられていました。胸部プロテクターとヒトクチに言っても様々なブランドものがあるでしょうから、現場で使えるレベルのエビデンスの検証には商品別の実験が必要になってくるでしょうねぇ。

思ったほどCommotio Cordisの分野の研究は進んでないんですかねー?ここ3年以内の文献はあんまりなくて驚きました。これも含めて、授業でしっかり話そうっと。

1. Maron BJ, Haas TS, Ahluwalia A, Garberich RF, Estes NA, Link MS. Increasing survival rate from commotio cordis. Heart Rhythm. 2013;10(2):219-223. doi: 10.1016/j.hrthm.2012.10.034.
2. Classie JA, Distel LM, Borchers JR. Safety baseballs and chest protectors: a systematic review on the prevention of commotio cordis. Phys Sportsmed. 2010;38(1):83-90. doi: 10.3810/psm.2010.04.1765.

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  # by supersy | 2017-09-30 09:00 | Athletic Training | Comments(0)

Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその4。

2014年2月2日 Lelli's Test―ACL断裂のための新しいスペシャルテスト!?
2016年3月16日 Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその1。
2016年3月18日 Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその2。
2016年12月26日 Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその3。

別にシリーズ化するつもりはなかったのですが、これに関して新たな文献をふたつ入手したので、「まとめその4」です。今や一部の診断教科書に載るようにもなったLever Sign Testですが、その効果やいかに?
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最初はK平さんが紹介してくださったこの論文(↑)1。冒頭で、エビデンスによればACL断裂診断に最も効果的なのはsensitivityが高いLachmanにspecificityが高いPivot Shift、としながらも、これらの両テストはどちらも患者の痛み・guardingの影響を受けやすく、正しくおこなうには試験者のスキルも要ることを指摘。シンプルで、誰にでも同じようにできて、yes/noで分かりやすく白黒つけられるテストはないか?ということで、Lever Sign Testの出番ってわけです。

この研究のデザインはProspective comparative studyで、調査対象(inclusion criteria)となったのは16-60歳の、膝を何らかのメカニズムで怪我し(non-contactとcontactのどちらも含む)、膝に"subjective swelling"もしくは"objective effusion"がある患者。逆側の膝に受傷既往歴が全く無いことも条件で、この膝は「健康」な比較対象として使われたそうな。除外対象(exclusion criteria)となったのは1) 再建手術の既往歴有(ACLに限らず、全ての靭帯);2) 遠位大腿骨もしくは近位脛骨の骨折; 3) 両側膝損傷; 4) 前・後十字靭帯の損傷が明らかな場合(これ、よくわからないのできちんと説明してほしい)…で、側副靭帯や半月板の損傷が同時にあってもそれは除外対象にはならなかったとのこと。ここまで見て思うのは、(2)~(4)はconcomitant/concurrentlyってこと?それとも既往歴?特に(2)と(4)は、画像診断をもって判断するの?もうちょっとわかりやすく書いてほしい。全体的に「ん?」と思う表現が多くあまり親切な文章ではない印象。年齢幅広いから、スポーツ選手を相手に仕事するATにはそのまま結果は当てはまらないかも。それから、objective effusionはともかく、subjective swellingの定義は?あまり聞きなれない言葉だし、swellingは基本objectiveであるべきものだと思うけど?sense of fullnessのこと?それともhistory of swelling, reported by the patient?

とりあえず読み進めます。試験者は2人の整形外科医…と書くとややこしいですが、一人の患者が2人の医師に2回に渡って検査されたのではなく、2人の整形外科医のうちどちらかがそれぞれの患者を診た、というだけなので、同一の試験者が全ての試験者をテストした場合よりはバイアスの要素が強くなってきます。inter-rater reliabilityはこの研究では報告されてませんので。特筆すべきは「試験者は患者のMRIはもちろん、MOIも含む患者のhistoryに対してもblindだった」ところです。純粋にテストの精度のみを検証しようとした部分は評価できます。それから、評価時は常に「健側→患側」だったこと、実施されたテストの順はどの患者も「Lever Sign→Lachman→Anterior Drawer→Pivot Shift」と固定されていたのも同様に評価されるべきです。これは、例えばLachmanをした後に「あれ?もう一回Lever Sign Testをやりたい」と頭によぎったとしても、戻ってはならない、ということだと私は解釈しています。必ずしもこの順番にバイアスがないとも限りませんが。で、この結果をMRIと照らし合わせたよう(整形外科医とradiologistがふたりでreview、双方の意見が全ての患者で一致したそう)なのですが、MRIが対照試験としてgold standard代わりに使われているのは問題アリですね、そもそもMRIはACL断裂診断においてsensitivity 83%, specificity 88.37%くらいしかないですから。2 本来ならばarthroscopyでなければいけないはず。
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加えて、この論文の決定的な穴はLever Sign Testの定義にあります。この論文では「被験者の脛骨粗面の最近位部位から少しだけ遠位の場所(the patient's tibia just distal to the most proximal aspect of the tibial tubercle)」の下に拳を、「膝蓋骨から10cm近位の大腿骨顆上(the supracondylar region of the femur, 10cm cephalad or proximal to the patella)」に手を添えてLever Sign Testを行った(↑上写真)、と書いていますが、これはLelli氏が2014年に自身の論文内で発表したやり方(試験者は患者の下肢近位1/3に握った拳を入れ、もう片方の手で大腿四頭筋の遠位1/3を軽く下に押す; 過去まとめ1参照)と異なるのです。3 自分の足を使ってたった今このふたつの異なるテストのバージョンを比べてみたのですが、少なくとも私の足をモデルにした場合、Massey氏らのやり方は、Lelli氏のそれと比べて両手共にかなり膝に近くなる印象です。ハッキリと手の置き場が違います。発明者であるLelli氏の描写と異なるテストを行っても、それはLever Sign Testと言えないのでは?私はこの不一致は致命的になりうると感じますがねー…。

ほいでは、結果です。
この実験で検証された被験者91人(平均年齢28±7歳、男61人、女30人)のうち、実際にACL断裂と診断されたのは71人(prevalence 78%!!!たっか!!被験者の偏りを表している?)。Statistical Power analysisで、必要被験者数は67人と定められていたので、91人はあっぱれな数字です。この論文、2x2テーブルはあったのですが、+/-LRも95%CIも求めていなかったので(なぜ?)、私がraw dataを元にそちらも計算して、4つのテストに関する統計のテーブルを作り直してみました。結果は以下の通り。
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見ての通り、最も優秀なsensitivityを示したのはLachman Testで、最も高いspecificityを有していたのはPivot Shift Test。冒頭のステイトメント通りですね。肝心のLever Sign Testはというと、sensitivityは堂々の2位、specificityは最下位タイながらも80というpoint valueはまぁまぁと言ったところでしょうか。Lever Sign Testの精度をもう少し詳しく、状況別に見てみると…
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1) 急性vs慢性では、急性の場合のほうが除外に有効で、慢性のほうは確定に有効である(…が、全体のaccuracyは大差なし、p = 0.47)。2) 付随する靭帯の損傷がある場合、確定力が一気に低下する(…が、こちらも全体のaccuracyは大差なし, p = 0.63)。3) 半月板損傷がある場合も同様に、確定力が一気に落ちる(これはaccuracyに大差あり、p = 0.003)…ということが言えそうです。しかし残念なのが、これらの統計に関してはraw dataが提供されなかったため、2x2テーブルが作れず、95%CIは求められなかったこと。subgroupに分けての分析なのでn数が一気に落ちていることを考慮に入れれば、これらの数値の95%CI幅はさらに拡大し(= statistically underpowered)、point valueのみでの判断はより難しくなると考えていいでしょう。その他に、考察部分では、この研究で報告された数値が他の論文よりも少し高いことから、fellowshipまで積んだ整形外科医らがおこなったテストだからこれだけ精度が良かったのか?という議論もなされています。確かに、ATやPTがテストを実施した場合の数値も見てみたいものです(華麗なる次の論文への前振り…?)。受傷から診断までの期間も1日から28ヶ月と幅が広かったのも気になります。個人的には受傷後3日以内に絞った超急性期の診断価値が知りたいです。

この論文の結論としては、Lever Sign TestはLachmanやAnterior Drawer, Pivot Shiftと引けを取らないだけの優秀なテストである。急性vs慢性(p = 0.47)や、他の靭帯の損傷が有る無い(p = 0.63)に正確性(accuracy)は影響されないものの、半月板損傷がある場合にはその精度が著しく落ちる(p = 0.003)…ということですが、前述のようにデザイン上、そして統計的にぽろぽろとflawを含むので、その解釈には気を付けるべきだと思います。うーむ、面白かっただけに所々残る甘さがもったいない論文でした。

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一方、私が見つけたこちらの論文4 では、「今までLachmanにしてもPivot ShiftやLever Sign Testにしても、色々とsensitivity, specificityやreliabilityが報告されてきたけど、これって基本、ベテランの整形外科医によるものだよね」という観点から、「それほど経験のない医師やPAなどの人が実施した場合はどうなのかというエビデンスも必要じゃない?」と切り込んでいます。これはなるほど、ごもっともですね。

で。この研究の調査対象になったのが、1) 片側の膝の怪我を受傷し、2) 症状があり、不安定症(symptomatic instability)があって医療機関を受診した患者。3) 過去のACL再建手術はもちろん、受傷前の同側膝の怪我の既往歴、過去6週間の手術歴はないことも条件で、4) 且つこの膝の怪我は72時間以内に受傷したものではない(= 超・急性期は脱している)…というこの条件は…ATにとってはあまりありがたいものではないかな?先ほども書いたように、私はむしろ受傷直後の反応が見たいのだけど。わざわざこの規制を設けた理由はなんなんだろう?あと、symptomatic instabilityというのももう少しきちんと定義してほしいですね。本人が「ぐらつきがある」と答えればそれだけでいいのか?「instability」をどういった形で確認、推し測ったのかは明記されるべきでした。

研究のデザインとしては、16年の経験を積んだベテラン整形外科医と、6年の経験を積んだ整形外科PAがそれぞれお互いのテスト結果を知らない状態で患者に1) Lachman Test, 2) Pivot Shift Test, 3) Lever Sign Testを実施。同じ患者にそれぞれ2回、麻酔前と後で繰り返したそうな。ちなみにこの研究でおこなわれた「Lever Sign Test」は、Lelli氏の描写通り3、下肢と大腿のそれぞれの1/3という、よりシンプルなランドマークを使っています(↓)。先ほどの写真より、特にふくらはぎ側の拳が膝から離れているような気がします。
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さて、結果です。調査対象となった患者33人のうち、21人が男性で12人が女性でした(平均30.9±14.3歳)。ここで私が非常に疑問に感じるのは、この33人全員にACL断裂が認められた(32人が完全断裂、1人が部分断裂)ということです。この被験者群のACL断裂有病率が「たまたま」100%だったとは考えにくいです(現実的に考えてprevalenceが高すぎます)。Inclusion criteriaに「MRIによってACL断裂が認められたこと」が含まれていればこれも納得できるのですが、あれ、読み飛ばしたかなと「The inclusion criteria for this study were patient...(p.72)」のところに戻って文章を何度読み返してみても、ここにそんな記述は一切ありません。あくまで被験者は「asymptomatic instabilityを訴える膝の怪我を受傷した患者」だったはずです、それがいつの間に「ACL断裂を受傷した患者」にすり替わったのでしょう?こういう穴がある論文は滅多にないので、なんだよものすごく怪しいじゃないかとかなり疑いの目で見てしまいます。

もしベテラン医師もPAさんも「被験者がACLを断裂していて、今日再建手術に来る。その麻酔前と後にこれらのテストをするのだ」というr理解の下、この実験がおこなわれているんだとしたら、それはかなりバカバカしいです。被験者のACLが断裂していることが分かった状態でこれらのテストをおこない、「陰性だ」と気持ちよく大きな声で誰が言います?「(…あれ?なんか陰性っぽい気もするけど、でも明らかに間違えなわけだから)陽性ですね!」と言いたくなってしまうのがヒトの性ではないでしょうか?

加えて、「ACL断裂を受傷していない被験者がいない」ということは、2x2テーブルの半分(false positiveとtrue negative)が埋まらないことになります。これでは、sensitivityは計算できても、specificityは求めることができません。研究としては、かなり問題のあるデザインになります。
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色々言いたいことはありますが、ともあれ結論です。上の表は、本文を読んだ上で与えられた数字を元に、私が2x2テーブルを作り直したものです。表の左側がベテラン整形外科医、右がPAによる診断の数値です。この数値を見比べていると、以下のことが見えてきます。1) Lachman - やはりこのテストは経験がものを言う。もしかしたら、手の大きい整形外科医のほうが、小さいPAよりも効果的にこのテストをおこなえたという要素もあるのかもしれない(手のスパン、21.5cm vs 15.5cm)。熟練で手が大きいものなら麻酔が有る無しに関わらず非常に効果的にこのテストをおこなえるが、手が小さい、and/or経験が浅いと麻酔が無い場合の正確性は落ちる。2) Pivot Shiftは、麻酔が無い場合は臨床的価値はほとんどない。…が、やはり手の大きさか、経験年数の違いか、麻酔科でも効果にはやはり差があるようである。3) Lever Sign Testは最も経験にも、手の大きさにも、職種にも、麻酔が有る・無いに関係なく、一貫性のある結果を得られるテストなのかもしれない。こういった要素に左右されず、常になかなかの数値を出せるテストであるというのは、臨床的価値が大いに高そうである

そんなわけで、結論だけみたらかなり面白い研究なんですけど、この論文にはあまりに致命的なflawがありすぎです。文章中に「false positiveはありませんでした」と何回も出てくるんですか、「ナメてんのかっ!」という感じです。統計の理解の低い読書をだまそうとしているようで、私は全体を通じてあまりこの文章に好感は持てませんでした。

ふーむ、しかし、これまでどのLever Sign Test関連の文献を眺めてみても、数値が全ての研究に置いて毎回悪くないというのは特筆しべきことなのかもしれません。臨床的価値は多いにありそうです。続報を待ちます…。

1. Massey P, Harris J, Winston LA, Philip N, Delgado DA, McCulloch PC. (2017). Critical analysis of the lever test for diagnosis of anterior cruciate ligament insufficiency. Arthroscopy. 2017. doi:10.1016/j.arthro.2017.03.007.
2. Kostov H, Stojmenski S, Kostova E. Reliability assessment of arthroscopic findings versus MRI in ACL injuries of the knee. Acta Inform Med. 2014;22:111-114.
3. Lelli A, Di Turi RP, Spenciner DB, Dòmini M. The "Lever Sign": a new clinical test for the diagnosis of anterior cruciate ligament rupture. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2014. doi:10.1007/s00167-014-3490-7.
4. Chong AC, Whitetree C, Priddy MC, Zimmerman PR, Haeder PR, Prohaska DJ. Evaluating different clinical diagnosis of anterior cruciate ligament ruptures in providers with different training backgrounds. Iowa Orthop J. 2017;37:71-79.

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  # by supersy | 2017-09-26 20:30 | Athletic Training | Comments(0)

スポーツ医療におけるATと医師の診断力はどれほど差があるのか。

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めちゃんこ面白い論文1 を発見しました。去年の今頃発表されたらしい。むー!一年間もこの子と出会わなかったなんて!先に言っておきますが、この論文の解釈はものすごく私の個人的バイアスが入ると思います。読むならば話半分程度に、テキトーに読み流してください。もしくはご自分でfull-textをお読みください。
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そもそものきっかけはこのSNSポスト(↑)です。多くの友人らがシェアしていたのですが、はて、どんな研究なんだろう?と興味が沸いたので探してみました(この写真、こういう書き方をするならばきちんとcitationを伴うべきです。なかったお陰で探さなければいけなかったではないですか!まぁ、3分くらいで見つかったんですけど)。

現在、アメリカでは公立高校の70%2、私立高校の58%3 にアスレティックトレーナーが雇用されていると言われていますが、我々のするべき重要な仕事の一つにon-site injury evaluation/diagnosis、つまり怪我が起きてすぐその場での評価や診断があります。日本では「診断」という言葉は医師にしか使えないと聞きますが、アメリカでは我々アスレティックトレーナーも合法的に「診断」をすることが可能なのです。

厳密には、アメリカには2種類の診断が存在します。これはClinical Diagnosis (臨床診断)Medical Diagnosis (医療診断)で、我々アスレティックトレーナーが行うのはClinical Diagnosisのほうです。Clinical Diagnosisは問診、観察、触診やROMテストやMMT、selective tissue testsなどを用い、最小限の用具も併用しながら (i.e. tuning fork, reflex hammer)、しかしほとんどはクリニシャンがその手と目のみに頼って診断を下すことを指します。一方で、血液検査やレントゲン、MRI、CTスキャンなどの画像診断などを使い、目や手では測れない身体の状況を推し測った上で出す結論のことはMedical Diagnosisと呼ばれます。これらの検査は我々ATではオーダーすることはできないので、アメリカでもほぼ医師の専売特許といっても過言ではないでしょう。もちろん、より決定的な力があるのがMedical Diagnosisのほうで、もし臨床 vs 医療診断に食い違いがあった場合、Medical Diagnosisのほうが「最終診断」として使われることになるわけです。
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んで。

ご察しの通り、正確なClinical Diagnosisを下すのは難しいです。理由は幾つもありますが、そのうちの一つは「怪我が起こった直後」というタイムラインにもあると思います。怪我をしたばかりの選手の多くは感情的になっており、泣いたり怒ったり、十分な意思疎通ができないことがあります。感情以外にも、怪我直後の痛みはより多くのnociceptorの活性を伴うため高いですし(どこが一番痛い?と聞いても、とにかく全部痛い、触診をしようにも少しでも触られると痛い、ということは珍しくありません)、guardingやspasmが本来の怪我の正体を隠してしまったり(i.e. ROMが本来よりも少なく見えたり、MMTの評価が影響を受けて下がったり、本来陽性になるべきテストが偽陰性になったり…)と、厄介なことが多いのです。もう一つ、画像診断等無しでは内部で何が起こっているかを完全に可視化することができず、我々が代わりに用いるselective tissue test (= special tests)の中にゴールドスタンダードとなりえるような完璧なものはありません。100%確実に特定の傷害を確定・除外することはできない、ということを念頭に入れながら、どのテストを選んで、どの結果をどう解釈して、決して100%や0%にならない確率(pre- and post-test probability)の変移を考慮に入れながらの診断にならざるを得ないということもあります。加えて、練習や試合中にフィールド上でおこなう(in-field)診断は、観客全員が固唾を飲んで見守っていたり、時にコーチや親御さんに怒鳴られながらおこなうなど、我々のコントロールできる範疇の越えた、distractionになり得る要素が多いことも特筆すべきでしょうか。オフィスの中でおこなう(in-office)診断はもう少し静かで落ち着いて、診断にしっかりと集中できる環境が整っています。

そこで、この論文です。In-field assessment by AT vs In-office diagnosis by physiciansを比較して、一体どれほどのagreementが得られるのか?この研究では、5つの高校を対象に、2010~2012年の間に起こった「ATが臨床診断を下したのちに医師にreferし、医師が医療診断を下した」傷害を全て検証。これらの条件を満たす怪我は検証期間内に全部で286件数起こったようなのですが、その詳細をInjury Databaseから引き出した上で、臨床 vs 医療診断が一致していたか、はたまた不一致だったのか分析したというわけ。
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結果は、286件中263件(92.0%)の診断が一致。この全ての怪我を種類別に見てみる(↑)と、一致率はmeniscal / labral tearが71.43%と最も低く、ATが5件「meniscal/labral injury」と診断したのに対して、医師は7件と、ATが2件見逃した形になっています。全体でのKappa Coefficientは0.907とかなり高い数字です。95%CIも求めておいてほしかったですが。

誤診というか、診断が合わなかった23件の「不一致」ケースもよく見てみると興味深い(↓)です。これを眺めているとATがoverdiagnosisしがちなのは骨折で、ATが骨折だと判断した傷害10件のうち1件は脳振盪、3件は打撲、6件は捻挫と医師からの最終診断が下されたことがわかります。これは、あの、身内擁護に聞こえるかもしれませんが、決して悪いことじゃないと思うんです。逆のケース(= ATが骨折ではないと思ったが、実は骨折だったケース)は3件と、overdiagnosisに比べてunderdiagnosisのほうが格段に少ないですよね。我々ATのモットーは「判断しかねるなら、常に悪い事態を想定せよ(= be safe than sorry)」なわけですから、骨折を除外(rule out)できなければ医師に受け渡すのが義務です。私は、これを誤診と呼ぶ必要はないと思っています。
もちろん、この表を見ていて、「おいおい、そりゃダメでしょ」と思うものもありますけどね。骨折の見落としは個人的には絶対にしたくありませんし、一番上の「ATが鼻骨骨折と思ったものが脳振盪だった」は、うちの学生にも「目に見えやすい怪我ばかりに捕らわれるな、顔面周りに衝撃を受けた怪我ならば、目に見える怪我が鼻骨骨折だろうが顎関節脱臼だろうが眼底骨折だろうが付随する脳震盪の可能性も考えられなきゃだめだ」と教えたばかりですから、これはアカンです。
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一方でですね、これらの『不一致』を見ていて、「これは『一致』で良くない?判断厳しくない?」と思うものもあります。例えば「AT: PFPS and Meniscal Tear」→「Physician: Meniscal Tear」とか、「AT: Possible Anterior Shoulder Subluxation」→「Physician: Shoulder Sprain」とか。前者はconcernとしては一緒じゃん、と思ってしまうし、後者は、そりゃーお医者さんのところに着くころにはsprainって診断されるでしょうよ、と個人的には感じるのですが…。

ともあれ。

この論文の結論には「Athletic trainers are highly qualified health professionals with several areas of expertise... (e947)」「...athletic trainers showed impressive accuracy in evaluating acutely injured athletes, especially in the absence of imaging equipment (e949)」と書かれています。贔屓目たっぷりだと自覚しながらそれでも書きますが、複数の専門性(i.e. 予防、救急医療、治療、リハビリ、そして今回の焦点である診断)がある医療従事者であるATが、診断の専門家である医師と92%一致する診断ができるってけっこうすごくないですか?画像診断なしで、目の前で起こった怪我を自分の目と手と頭のみを頼りに診断して、ですよ?これは全然胸を張るべきことじゃないんですけど、アメリカの給与比較を見てみると、ライセンスを取り立ての新人医師をひとり雇うお金で中堅ATが4~10人は軽く雇えてしまうんですよ。そう考えるとやはり、全ての高校や中学校にATを雇うことは大いに有意義なのではないかと、ずっと思っていましたし今回の論文を読んでも強く感じますね。

もちろん、この論文にも穴は多くあります。一つ目に、公平を期すならば、期間中に起こった怪我は全てATと医師によってそれぞれ別々に診断されるべきでした。この実験ではまずATが診断して、必要があると判断された場合に医師にrefer、という形なので、必然的にこの分析に含まれた怪我はどちらかというと重度寄りのもの、ということになります。それから、個人的にはこの研究に関わったATと医師それぞれのprofileが知りたいです。例えば、ATが全員職歴15年越えのベテランで、医師側はライセンスを取ったばかりの研修医が大半だったとか、経験の不一致がこの結果に与えた影響がどれくらいあるのか、データ無しには妄想すらもできません。それから、医師が診断を下す際に、ATの診断に対して何らかのblindingはおこなわれていたのか?現実的には難しかったかと思われますが、もしなかったならば、医師の診断がATのそれに引っ張られた、つまりバイアスがあった可能性もあるのでしょうか?

それから最も「一致率が低かった」とされるmeniscal/labral injuryですが、これは医師が画像診断を使っているが故に過剰診断をしている可能性はないのでしょうか。MRIによる画像診断でmeniscal tearが仮に発見されたとしても、それが患者のcomplaintと関連性があるとは限りませんよね。asymptomaticな(症状を伴わない)meniscal/labral tearもありますから。そこらへんはどう判断されたのか…。

まーそれにしても、とても面白い、そして自信をもらえる論文でした。100%の正確性のある医療が少数の人に届くことも大事ですが、92%の正確性のある医療がその何百倍、何千倍の患者に届くことも同じか、それ以上に意味があると思います。より多くの人の医療のエントリーポイントとなれるように。医療を身近に感じてもらえるように。ATが世の中にできることはまだまだ沢山ありそうです。

1. Lombardi N, Tucker B, Freedman K, Austin L, Eck B, Pepe M, Tjoumakaris F. Accuracy of athletic trainer and physician diagnoses in sports medicine. Orthopedics. 2016;39:e944-e949. doi: 10.3928/01477447-20160623-10.
2. Pryor RR, Casa DJ, Vandermark LW, Stearns RL, Attanasio SM, Fontaine GJ, Wafer AM. Athletic training services in public secondary schools: a benchmark study. J Athl Train. 2015;50(2):156-162. doi: 10.4085/1062-6050-50.2.03.
3. Pike A, Pryor RR, Mazerolle SM, Stearns RL, Casa DJ. Athletic trainer services in US private secondary schools. J Athl Train. 2016;51(9):717-726.

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  # by supersy | 2017-09-22 17:00 | Athletic Training | Comments(0)

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